▼団体特集▼
第二部「生涯剣道の裾野を広げる」
〜大人(社会人)向け剣道教室ケンプラ 代表佐藤翔太〜
(以下 KENDO PARK=KP 佐藤翔太=佐藤 大人向け剣道教室 ケンプラ=ケンプラ 社会人剣道サークルkent=kent)
–佐藤翔太-
1990年生 福島県出身
小学3年生で剣道を始め、磐城高校時代に全国高校選抜大会に大将として出場。
大学卒業後に独学でwebマーケティングを身につけ、
2013年に兄とともに社会人剣道サークル「kent」を設立。
約4年間で登録会員800名超の剣道サークルへと成長。
2016年には初心者をターゲットとした「大人向け剣道教室ケンプラ」のサービスを開始し、
1年余りで登録会員200名超。
現在両サービスの代表を務める。
※前回まで第一部 「剣道をもっと気軽に楽しく」
|初心者剣道家の受け皿となる
KP:
ケンプラは初心者向けの剣道教室ですが、どのような経緯でスタートなさったのですか?
佐藤:
kentの会員が増えるにつれ、稽古会における剣道経験者の割合、それも高校くらいまでガッチリやっていた方の割合がかなり増えてきました。
それはそれで嬉しいことなのですが、その代わりに初心者が基本を学ぶ場が減るのではないかと感じ、1年ほど前に「大人向け剣道教室」として独立させることにいたしました。それがケンプラです。
KP:
たった1年で200名もの会員とは、すごいですね。
佐藤:
サービス開始当初は、kent会員から30名ほど申し込みがあったので、そこで初めからある程度人数は集まっていました。
剣道を基本からもう一度学びたいと思っている方は、想像以上に多いのだと思います。
最近はwebサイトからの申し込みが、かなり増えてきた印象です。
そもそも、「初心者の社会人剣道家」をターゲットとして謳っている道場は皆無です。
せっかく剣道人口を増やせる機会なのに、町道場が取り込めていないので、これは大きな問題だと思います。
KP:
初心者相手ということで、気をつけていることは何ですか?
佐藤:
目標を持たせることと、正しく安全に行うことです。
剣道は1日2日でできるようになるスポーツではないので、特に最初は続けることが難しいと思います。
そこで始めから、素振り・打ち込み・地稽古まで一通りの動きを見せて、目標となるイメージを持ってもらうようにしています。
ただやはり、打つ感覚・勝つ喜び・昇段する喜びを知っていただきたいなというのが、正直なところです。
その環境は、徐々に整えていきたいと考えています。
また教えるにあたって、事前に単語の意味をきっちりと調べて話しています。
メニューも体に負荷がかかりすぎないよう、かなり緻密に作っています。
これも全て、正しく安全に剣道を学んでいただくためです。
|ケンプラの稽古に参加
ここからケンプラの稽古に実際に参加させていただいたので、体験記事を記載いたします。
集合場所にはすでに常連の会員さんが10名程度いらっしゃったので、軽く挨拶をした。
この時点ですでに、参加者から「学びに来ている」雰囲気を感じ取ることができる。
まず参加者には会員カードが配られる。これを製作するだけでもそれなりの労力が要るであろう。
この辺の細やかなサービスも、町道場とは全く異なる。
この日は20名超の方が参加されたが、そのうち約半分が初心者の方であった。
なかなか無い機会なので、初心者の参加者に「なぜ社会人になって剣道を始められたのですか?」と伺った。その回答が以下である。
・学生時代に剣道部に入り損ね、一度はチャンスを逸したが、改めて始めてみようと思ったから。
・社会人になって、新しいことに挑戦し、新しいコミュニティに飛び込みたいと思ったから。
・子供が道場に通っていて、保護者も一緒に剣道をやることになったが、
道場では大人に基本を教えてくれないから。
剣道を始めたきっかけはそれぞれあるようだが、参加者が共通して仰っていたのは「初心者の社会人剣道家の受け皿が無い」ということであった。
ケンプラのメニューは、礼式に始まり、すり足、構え、素振りとかなり丁寧に教えていく。
社会人の方々だけあって、意識が高く吸収がものすごく早い。
丁寧な指導のおかげで、変な癖も付いていないので、構えも素振りも大変綺麗に見えた。
素振りの前にはケンプラオリジナルの「両手素振り」を行う。
いきなり竹刀を振ると、どうしても前に出ている右手が強くなってしまうので、それを予防するためとのこと。
その後、踏み込みの練習を行う。足腰に負荷のかかる練習であるが、踏み込む際のポイントに加えて、怪我をしないよう事前に注意があり、安全に取り組むことができる。
この段階で、“面をつける組”と“面をつけない組”に分け、それぞれ打ち込みを行う。
打ち込みによって、打突のベースとなる動きを体に覚えさせることが目的だそう。
打ち込みをやらずに実践的な練習をやると、手足ばらばらの“チャンバラ状態“になりやすいとのこと。
ここまで面をつける前のメニューで、1時間半もの時間をかけていた。通常であれば大学チームの練習1回分にも匹敵する時間であることを考えれば、どれほど丁寧に指導しているか分かるであろう。
ここから途中参加者も合流し、面を装着しての実践練習を行う。
全てのメニューにおいて、佐藤代表自らデモンストレーションを行うので、参加者もイメージがつきやすい。
基本打ちから実践練習まで一通り終えたところで、合計3時間もの練習が終了した。
ここである程度基礎的な力を身につけた方は、kentの稽古にも徐々に参加していくそう。
また級審査にもチャレンジするなど、常に目標を持って剣道を続けられるとのこと。
運営から:
少子化が進む日本国の中で、今回の参加者のような「社会人剣道家」の開拓は急務であります。
彼らの受け皿となり、楽しく剣道を続けられる環境を構築できるよう、KENDO PARKでも引き続きkentとケンプラ双方と連携していきたいと思います。