本記事では、剣道で使用する”手ぬぐい”(=通称 面タオル、面手ぬぐい etc.)について、ご紹介していきます。
面の下に装着する手ぬぐいは、様々な巻き方と種類が存在します。
巻き方を学ぶと共に、手ぬぐい選びでより剣道を楽しみましょう。
|手ぬぐいの役割
手ぬぐいは、剣道競技をする上で非常に重要な役割を果たしています
面をつける前にまず頭に手ぬぐいを巻きますが、その役割は汗による面の劣化を防いだり、打突の衝撃から頭を守るといった役割があります。
また剣道の面は着脱を即座にできるものではないため、あらかじめ顔面に汗が流れるのを防ぐ役割があります。
剣道の手ぬぐい(100cm)は、一般的な手ぬぐい(90cm)と比べてサイズが大きいです。頭に巻いて使用するため、通常のものよりも大きいサイズで作られています。
デザインや色もさることながら、巻き方によって後頭部の見え方も異なるため、「見た目」にも大きく影響します。
チームで色を統一しているケースもあり、手ぬぐいがそのチームのトレードマークとなっていることもあります。
このように、手ぬぐいには剣道において様々な役割を持ちます。
|手ぬぐいの巻き方
面をつける前には必ず頭に手ぬぐいを巻きますが、その巻き方は大きく分けて3つの種類があります。
ここでは剣道において使われる手ぬぐいの巻き方を3つ紹介します。
帽子型
帽子型は手ぬぐいを床で折りたたんで、頭に被るという形です。
折りたたんで被るだけですので、小学生など小さい子どもや初心者に向いている方法です。
また耳がすっぽり隠れ、髪の毛や頭皮が引っ張られないことから、比較的ゆったりした付け心地です。
一方で、締め付けが弱い分稽古の中でズレでしまうことがあるのが、弱点と言えるでしょう。
後頭部の見え方は、「頭部がスポッと収まった」ような形となります。
方法は以下のようになっています。
1. 手ぬぐいを横に半分、または2/3程度に折ります。
2. 左右の端を、大きさを調整しながらクロスするように折ります。
3. 裏返して両端を折込み、台形になるように整えます。
4. 前髪を含め、髪の毛と耳を覆うように被ります。
前交差型(通常型)
前交差型は、紹介する3種類の中で最も一般的な巻き方です。
頭部を包むように巻くため、自分の頭の形に合わせることができ、上手く巻けるようになると非常に取れにくい巻き方になるため、稽古や試合中などに手ぬぐいがずれてしまうことがありません。
一方比較的締め付けが強く、強く巻きすぎたまま長時間稽古をすると、こめかみの部分が痛くなることがあります。
また耳が露出しているため、面と直接触れて擦れることで痛みが出ることもあります。
後頭部の見え方は、頭部を包んだような形となります。
方法は以下の通りです。
1. 両角を持ち、前髪を掻き上げるように頭部に被ります。
2. 両角を持ったまま、顔の形状に合わせて顔の前でクロスさせます。
(耳は中に入れない)
3. 顔の前に垂れている部分を、頭頂部に持ち上げます。
4. 先端を折り返し、後頭部から手ぬぐいが出ないようにします。
後ろ交差型
最後にご紹介するのは、後ろ交差型です。
また他の2種に比べて難易度が高いため、比較的上級者に多い印象です。
また顔をすっぽりっと覆ってから巻き上げるため、上級者の中でも男性に活用される手法です。
顔全体を包みながらも、締め上げている訳では無いため、前述の2手法の中間のような装着感と言えるでしょう。
長時間の装着でも、痛みが出たりズレたりすることが比較的少ないです。
後頭部の見え方は、頭部を横に巻き上げたような形となります。
方法は以下の通りです。
1. 両端を持ち、中央下部を口で咥えながら顔全体を巻くように覆います。
2. 両端を持ったまま頭部を一周させ、頭部全体に巻きます。
3. 顔の前で両端を押さえながら、頭頂部の余分部分を前に折り返します。
(両端を顔の前で結んでもOK)
4. 両端と折り返し部分を押さえながら、顔面を出すように顔の前部分を持ち上げます。
(耳は中に入れたまま)
|手ぬぐいの種類やデザイン
剣道で使用する手ぬぐいには、様々なデザインや柄模様が存在します。
ここでは、主に使用されている柄模様や文字デザイン、またそこに込められた意味をご紹介します。
柄模様
剣道には、よく使用される伝統的な模様やモチーフがあります。
その一部をご紹介します。
蜻蛉(とんぼ)柄
剣道では、様々な剣道具に蜻蛉(とんぼ)柄が使用されています。
蜻蛉(とんぼ)は「勝虫」や「勝ち虫」という別名があり、退がることなく前に進み続ける姿がその名の由来となっています。
桜柄
蜻蛉柄と同じく、様々な剣道具の柄模様に使用されています。
室町時代には、「花は桜がいちばんで、人は武士がいちばん優れている」という意味で使用されていました。
その後「花は桜木、人は武士」という言葉が生まれ、女性だけでなく男性からも桜は好まれるようになりました。
また桜は「散り際がいい」という意味から、古くから武士に気に入られてきた花でもありました。
そのため、剣道においても広く使われている柄模様です。
文字デザイン
手ぬぐいには柄だけではなく、文字の書かれた手ぬぐいも多く使用されています。
ここでは、よく使用される文字やその意味について紹介します。
不動心(ふどうしん)
他の何によっても、心が動かされない様を意味します。
剣道においては、勝負の局面においてブレない精神力を表しています
平常心(へいじょうしん)
常にいつも通りの心待ちで、揺れ動くことが無い様を意味します。
「不動心」に近い意味とも言えるでしょう。
克己(こっき)
「自分に勝つ(克つ)」という意味で、自らの弱さや甘えを乗り越えることを意味します。
百戦錬磨(ひゃくせんれんま)
数々の経験や戦いにより、十分に鍛錬されている様を意味します。
日常会話でも、たまに使用される熟語かも知れません。
今回ご紹介した文字以外にも、たくさんの文字や熟語のデザインが存在します。
以下記事でもご紹介しているので、ぜひご覧ください。
参考記事:【剣道と言葉(四文字熟語)】
オリジナルデザイン
手ぬぐいには、ある地域でしか購入できないものや、特定の大会等でしか手に入らないものもあります。
ここでは、そんな貴重な手ぬぐいをご紹介します。
奈良鹿
漫画「ワンピース」
東京オリンピック
世界剣道選手権大会(2015)
玉竜旗高校剣道大会(2018)
|”手ぬぐい”選びを楽しもう!
冒頭で手ぬぐいの重要な役割について紹介しましたが、役割を果たすだけではなく、そこに描かれている文字や模様も重要です。
中には自分の好きな柄を探して気分を上げたり、好きな言葉の書かれた手ぬぐいを着用することで身を引き締める人もいます。
また、中学校や高校、大学の多くの剣道部では部員で手ぬぐいを揃えているところも数多く存在します。
皆さんも、ぜひお気に入りの柄や文字の入った手ぬぐいを探してみてください。