【目の前の相手に集中する】富士ゼロックス剣道部 梅ヶ谷翔

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梅ヶ谷,剣道,中大,富士ゼロックス

「目の前の相手に集中する」

〜富士ゼロックス剣道部 梅ヶ谷翔〜

長らく警察や教員主体であった剣道のトップ選手層の中で、昨今学生剣士の躍進が著しくなっています。
その中で「玉竜旗11人抜き優勝」「大学2年で全日本選手権3位」等、数々の伝説的な実績を残し、学生剣士躍進の流れを作った一人である梅ヶ谷氏。
新世代の剣道観をお伺いしました。
(以下 KENDO PARK=KP   梅ヶ谷翔氏=梅ヶ谷)

KENDO PARK

-梅ヶ谷翔(うめがたにかける)-

東野少年剣道教室(福岡県)で剣道を始め、小学6年時に全日本選抜少年剣道個人錬成大会(通称:道連全国)で準優勝。
中学卒業後、福岡大学附属大濠高校に進学し、高校3年時に玉竜旗で優勝。
大将として、5試合合計11人抜きを達成。
高校卒業後は中央大学に進学し、大学1年時に全日本学生剣道選手権大会で優勝。
続く2年時の関東学生剣道選手権大会で優勝、さらに同年の全日本学生剣道選手権大会で準優勝と、大学個人戦3大会連続で決勝進出。
大学2年時に福岡県予選を勝ち抜き、全日本剣道選手権に出場。
学生ながら準決勝に進出し3位入賞。
同年、全日本強化選手に選出。
3年時に関東学生優勝大会優勝。
大学4年時には東京都剣道大会に、学生クラブ(=中央大学)大将として出場し、警視庁Bを破って決勝に進出。
決勝では、警視庁Aを相手に勝利まで残り数十秒まで追い詰める。
大学卒業後、富士ゼロックス株式会社に就職。
2020年度より富士ゼロックス剣道部副主将就任予定。


|伝説の11人抜き

KP:
梅ヶ谷さんは、学生時代から「伝説的」事績を数多く残していらっしゃいます。
まずは「玉竜旗11人抜き優勝」(※)について、当時考えていたことを教えてください。

※2013年の玉竜旗高校剣道大会において、大将でありながら5試合で11人を抜き去り優勝を果たした。
長い玉竜旗の歴史の中でも、伝説として語り継がれている。


梅ヶ谷:
常に自分が負ければ終わる状況なので、プレッシャーは感じるが、とにかく「深く考えない」ことを意識していました。

もともと試合に対しては、初太刀のみイメージし、その後は都度戦略を立てながら戦うスタイルですので、とにかく「目の前の相手を倒す」ことに集中していたと思います。

もちろん各試合の間は時間が空きますが、各試合の初戦だけ意識するようにしていました。
また、毎試合「自分に回ってくる」という腹積もりでいたため、集中は途切れませんでした。

最終的には、「気がついたら11人抜いていた」というのが、正しいかもしれません。


KP:
梅ヶ谷さんといえば、引き技が特徴的です。


梅ヶ谷:
私は、小さい頃から自分では攻撃力が無い方だと感じていました。
同期の久田松選手(龍谷高→早稲田大→現・愛知県警)や宮本選手(水戸葵陵高→国士舘大→現・警視庁)等に比べると小柄ですし、どちらかというと守備力が優れていると感じていました。

そんな折、中学の先生からは「引き技を打てないと、勝ち続けられない」と言われていました。
離れた距離からの攻防に比べ、引き技は技術が上手いほうが勝つ確率が高いものです。

一方で返し技や出鼻技を打たれることがほとんど無い上、仮に技が当たらなくとも体勢を作り直せば問題ありません。
このようなことから、中学生くらいから鍔迫りでの駆け引きや引き技を繰り返し練習していました。

「引き技は美しくない」という声も稀にありますが、鍔迫りの中でも細かい駆け引きや攻防は多分に存在するので、私の意識としては遠間での攻防とあまり違いはありません。

決勝では、高輪高校相手に4人を抜き去り優勝。
出典:「梅ヶ谷翔 奇跡の11人抜き 2013玉竜旗高校剣道大会」

|スタイルを変えない

KP:
高校卒業後は中央大学に進学し、いきなり学生日本一に立ちました。


梅ヶ谷:
既に兄が大学にいたことや、もともと将来は一般企業志望であったことから、中央大学を選びました。

中央大学に入った当初は、レギュラーに入ることを目標に設定していました。
既に大学剣道で稽古を積んでいる先輩方に、どのように勝てば良いかを考え、まずは毎回の稽古ではいつも倒すつもりで先輩に掛かりました。
また稽古外でも自主練を行い、稽古の量と質で経験値をカバーするように考えました。

優勝した全日本学生選手権でも、スタイルは同じでした。
1試合1試合相手を想定し、「この技に気をつけよう」「無理せず延長に持ち込もう」等、とにかく「いかに相手を攻略するか」だけに集中していました。

決勝で対戦した村瀬諒選手が強いことは知っていたので、「早い段階で負けたくないな」と考えていました。
おそらく相手からすれば私が格下になるので、「早く決めてしまいたい」という心理ではないかと考えたからです。
結果として、粘って延長まで持ち込み、勝ち切ることができました。

参考記事:
【剣道家が実践すべき2つのポイント】’15WKC日本代表・日体桜華中高監督 村瀬諒(1)


KP:
学生の頂点に立った前後で、プレシャーや心境の変化等はありましたか?


梅ヶ谷:
優勝した瞬間は嬉しかったですが、「これから、必要以上に強く見られてしまうのではないか」と思い、正直少し嫌な気持ちもありました。
とはいえ、考えたところで何も変わらないので、特にスタイルを変えずに稽古に励むことを意識しました。

もともと自分に自信がない分、稽古量で自信をつけるタイプです。
稽古においては、プライドを捨てて上下関係なく質問をぶつけますし、わからないことは稽古で解決するようにしています。
その分、試合では自信とプライドを持ち、決して気遅れしないように心がけています。

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「剣道新世代」として語って頂きました。

|目の前の相手を倒す

KP:
大学2年生にして、全日本剣道選手権で3位に入賞なさいました。


梅ヶ谷:
大学2年生から、全日本強化合宿に呼んで頂くようになりましたので、気後れするようなことはありませんでした。
とはいえ、学生の出場が少ない大会ですので、注目されているのは感じていました。
そういうこともあり、「早く負けたら恥ずかしいな」というようなことは考えていたと思います。

とはいえ試合になれば同じですので、「目の前の相手をいかに倒すか」ということに集中することには変わりありませんでした。
学生大会と同様、その積み重ねが結果に繋がったと思います。


KP:
大学4年時には、中央大学チームで警視庁Bチームを破り、警視庁Aチームをあと一歩まで追い詰めました。
最近の学生剣士は、警察官相手でも堂々と試合をしているように感じます。


梅ヶ谷:
今の学生の間では、かつてのような警察や教員の選手に対しての恐怖心はほとんどないと思います。
最近は、警察の中でも若い年齢の選手が活躍なさっていますし、インターネットで気軽に動画を見ることもできますので、試合で対戦しても心理的準備はある程度できていると思います。

これまでも色々な選手と対戦させて頂きましたが、構え合った時に「これはヤバい」と思ったことは一度もありません。
実際、当時参加していた全日本強化合宿には、35名ほど召集されていたのですが、「これは負けるな」という気は全くしませんでした。

仮に「強いな」と思っても、その相手を攻略する解決策を見つけることに集中するだけですので、どのような環境であっても気遅れすることはなかったです。

警視庁と対戦した時を思い返しても、このような意識は中央大学のチーム全体にも浸透していたと思います。

大学生ながら、初出場の全日本選手権で準決勝に進出。
出典:第63回全日本剣道選手権大会【準決勝】西村英久×梅ヶ谷翔

|仕事でもNo.1になる

KP:
もともと一般企業(=実業団)志望とのことで、卒業後は富士ゼロックスに就職なさいました。


梅ヶ谷:
高校時代に、実業団で活躍する先輩が稽古に来てくれていたこともあり、剣道だけでなく社会で活躍する先輩の姿を見ていました。

その影響もあり、「剣道以外でも活躍する人間になりたい」と思うようになりました。
その折に実業団の富士ゼロックスより声をかけて頂き、就職することにいたしました。

入社してから思うことは、仕事においても「剣道ばかりやってきたから〜」と言われたくないですし、「仕事でもNo.1になりたい」とより強く考えるようになりました。

富士ゼロックスには、中央大学の先輩でもある上原祐二先輩(現・中央大学剣道部助監督)がいらっしゃいます。
上原先輩は実業団大会でも何度も優勝なさっていながら、仕事でも多くの方の尊敬を集めている先輩です。
まさに剣道も仕事もできる「かっこいい人」を実践していらっしゃり、私にとっても目標とすべき存在です。


KP:
社会人となった今、稽古はどのようになさっているのですか?



梅ヶ谷:
現在は週1回の会社剣道部の稽古と、時間がある時は三井住友海上の稽古にも参加させて頂いています。

よく「社会人になったら、落ちついた剣道を目指すように」と言われますが、稽古をするうちに自然に体や技術がアジャストしていくものだと思いますので、スタイルを無理に変えるようなことはしません。

社会人になってから、これまでにも増して以下の3つのことを意識しています。
・プライド持って取り組む
・仕事を言い訳にしない
・常に今やるべきことを考える

確かに学生時代に比べれば、圧倒的に稽古量は減りましたが、今まで通りの意識で稽古をしていれば、上達はできると考えています。

梅ヶ谷,剣道,中大,富士ゼロックス
高校時代から実業団志望であった。
画像出典:福岡県剣道連盟

|リスペクトされる存在

KP:
今の学生に伝えたいことはありますか?


梅ヶ谷:
「先入観を持たない」ことと、「自分の強みを見つける」ことを伝えたいです。
前者においては、どのような指導も「一回やってみて検証してみる」ことが大切です。
型にはまらず、トライアンドエラーを繰り返すことで、自分に合った剣道を身につけられると思います。

また、「相手よりもここが優れている」という自分の強みを見つけることも大切です。
それは単に技云々でなくても、「稽古量では負けない」等も当てはまります。
それが自信になれば、どんな相手にも立ち向かうことができるからです。

これらがベースとなれば、試合では「いかに目の前の相手を倒すか」に集中することが出来ます。


KP:
将来の目標を教えてください。


梅ヶ谷:
目の前の目標としては、営業マンとしてトップセールスになることと、実業団大会で優勝したいと考えています。
もちろん全日本選手権の舞台には、再び立ちたいという想いもあります。

これらを通して、「皆からリスペクトされ、好かれる人」になりたいです。

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