今回は剣道具における胴の選び方について紹介します。
胴は防具の中でも色や模様のバリエーションが多く、選ぶ際の選択肢が非常に多い防具ともいえます。
自分に合った胴を選ぶことができれば見栄えの良さはもちろん、パフォーマンスも向上させることにもつながります。
胴選びにはいくつか押さえておかなくていけないポイントがあるので、解説しながら触れていこうと思います。
|胴という剣道具
胴を選ぶにあたって、まずは胴という防具がどのような目的で使われ、どのような構造となっているかを理解しておきましょう。
胴台
胴台というのは、胴の胸より下、竹刀が当たって音が鳴る部分のことです。
胴の一番広い部分を占め、彩りがカラフルなものも多い部位でもあるのでそういった点に目をとられがちになりますが、竹刀に一番打ち込まれるところなので、衝撃に強い構造になっています。
また、素材も多様であり、表面に牛革を貼った革胴、ファイバー胴、ナイロン樹脂製の「ヤマト胴」があり、塗装もできます。
【生地胴】純国産胴台(単品)
胴胸
胴胸は胴の上部分、突き垂れと一緒に竹刀が刺さらないようにするように機能している部位になります。
こちらも多くの装飾があり、胴に個性を出す部分になります。
大まかに分けるとこの「胴台」と「胴胸」の二つに胴は分けることができるのですが、この二つのバランスは非常に大切です。胴胸と胴台のバランスは、横から見た時に胴台の描く曲線が胴胸にかけてカーブしていることや、持ち上げた時に底が少し傾いているかを見ることで確認できます。
きちんとバランスのとれた胴を選ばないと着用時に重く感じたり、つっかえたりして思うように動くことができないかも知れないので気を付けましょう。
【綴じ胸】オールドスタイル胴胸(単品)
胴の選び方
胴の構成を理解したところで、次はいよいよ本題の胴の選び方についてお伝えしていこうと思います。
いくつかの部位で構成される胴は、様々なものが作れる一方、ここだけは押さえておきたいという部分もあるので見ていきましょう。
サイズについて
おおまかなサイズとして、大人用、女性用、子供用などの規格があり、細かくは胴台と胴胸の高さや幅を指定することができます。
防具屋さんにいって作る場合はその場で正しいサイズの物を選ぶことが大切ですがネット通販などで買う場合は自分の身長、ウエストをきちんと確認し、サイズの合ったものを買うようにしましょう。
女性の場合、体つきが男性と異なりますので、胴台の高さが男性規格のものより少し変化するといわれるので、その点に留意して買うことをおススメします。
また、小学生のお子さんに買ってあげる際には、小学生規格の胴は胸の幅が大きく、両腕の付け根が胴胸に当たってしまいうまく面が打てないという場面が多いです。
子供こそサイズ感には気を配り、ぴったりの剣道具を使わせてあげましょう。
【特練ピッチ(少年用)】胴
【ライト6】軽量防具 胴(キッズ対応)
装飾性について
また、胴に個性を出し、オリジナルのものがほしいという場合、様々な装飾を施すことができます。
それぞれの部位にどのような装飾ができるのか、まとめてみました。
胴胸(雲型、曙光)
胴胸で装飾が可能なのは「雲型」と「曙光(しょっこう)」の二つです。
・雲型
雲型は竹刀の先が胸についたとき首やわきへ滑るのを防止するためにされている装飾ですが、見た目が華やかにもなる部分になります。
職人さんによって施される形は実に様々ですが、関東型、三階松、全刺、波千鳥などが代表的な装飾として挙げられます。
・曙光
曙光は雲型の中心部分のことを指し、胴の芯と革を固定する意味があります。
使う糸によって色や模様を自由に決めることができ、職人さんとの兼ね合いで自分の理想通りの物が完成します。
織刺・黒石目胴
【綴じ胸&生地胴】オールドスタイル(パターンカスタム)
胴台
胴台は模様や色が多彩なのはもちろん、その素材すらいくつもあります。
さらに一番目に入る部分なので、派手さを重視するなら胴台をまずどのようなものにするか決めるといいかもしれません。
【ヤマト胴】(塗タイプ)パターンカスタム
【ヤマト胴】(染タイプ)パターンカスタム
|胴の素材
竹
一番高価であり、一番衝撃吸収に優れているといわれています。
また、手入れが行き届いていないと傷みやすいというのも特徴です。
ファイバー
紙由来のパルプ繊維を、ナイロン樹脂で固めた物で構成した素材で、つけた時の重量感が比較的軽いと言われます。
ナイロン樹脂
ナイロン樹脂でできており、スタンダードなものになります。
竹胴のような構造をしてるものは高価にはなりますが強度は高くなります。
以上が素材についてなのですが、これらを最後に仕上げる際、漆を主に用います。漆にも貴重な国産や外国産があり、どれを用いるかでもツヤが変わってきます。
【特練ピッチ】胴
・栄光武道具
・オールラウンドタイプ
・シンプルなデザイン
・強固な飾り糸の縫い付け
・硬く衝撃に強い
・学生にもお買い得なプライス
【蒼】胴
・シンプルかつ安全性に特化
・重厚構造
・胴胸床革使用
【碧】胴
・大和武道具製作所
・戦時中から続く超老舗
・頑丈重厚タイプ
・硬め構造
・重厚構造
・胴胸吟革使用
【閃】胴
・豊富なラインナップの松勘工業製
・選べる胴胸と胴台
【空】胴
・大和武道具製作所
・戦時中から続く超老舗
・美しさを重視
・重厚構造 ・純毛飾り紐を縫い付け
・胴胸型は希望可能
・選べる胴台
|塗り方について
様々な塗り方が現在あり、どのような色でも現在装飾するのは可能です。
落ち着いた表情を出すために石目調にするもよし、赤や緑の色を混ぜ込むもよし、明るい色で派手なものにするのもいいですね。
また、イラストを入れてオリジナリティを出すのも魅力的です。
また、鮫肌や虎革を使った変わり種の胴もあるので、装飾性、価格面において自分に合った物を選ぶようにしましょう。
|胴のつけ方
胴のつけ方については別記事にまとめておりますので、以下リンクよりご覧いただければ幸いです。
参考記事:【剣道防具(剣道具)の着方・つけ方】
|胴のお手入れ方法
稽古や試合の後は、胴を手入れすることで長持ちさせることができます。
手入れの手順を紹介するので、きちんと保管するようにしましょう。
稽古後、汗などがついていたら優しくふき取る
胴の雲型、曙光は時折ブラシで掃除する
胴紐が傷んできたら取り替える
垂を胴の上にかぶせ、胴紐で軽く縛り表面を保護する
※竹胴は湿気などによって幅が狭まることがあるので、竹刀の竹などを切ってはめておく。
これらをしておくことで胴が痛むことなく、長く使うことができます。
特に胴の表面はあまり強度が高くなく、すぐにはがれてしまうので気を付けましょう。
|胴の選び方まとめ
以上が胴の選び方で押さえておきたいポイントになります。
これから胴を買う人や購入を考えている人に、少しでもお役に立てれば幸いです。
正しく胴を選び、使い、手入れをすることは剣道家にとって大切なことでもあります。
職人さんや防具屋さんに感謝の気持ちを持ち、日々の稽古に取り組めば、おのずと胴に対する愛着も湧いてくると思います。