全日本剣道連盟は、2020年9月16日に内閣府の認可を受けて、公益財団法人へ移行致しました。
それに伴い、2020年4月1日に「全日本剣道連盟《基本計画》〜次世代への継承に向けて〜」と題した中期ビジョンプランが策定されました。
競技人口のみならず、ガバナンス、コンプライアンス、財政収支目標まで、これまでにない踏み込んだ内容となっています。
発表情報及びファクトをもとにした第三者目線での分析解説のため、あえて全日本剣道連盟本体には取材せず、詳細な解説記事として掲載いたします。
過去の参考記事:
【全日本剣道連盟のおサイフ事情】〜私たちの昇段審査料はどこへ?〜
全剣道家必読!【感染拡大予防ガイドライン完全解説】全日本剣道連盟 中谷行道・宮坂昌之
全剣連完全監修!【竹刀・剣道具(防具)の規定ルール改正を徹底解説】全日本剣道連盟 藤原崇郎
|公益財団法人への移行
全日本剣道連盟は、2020年9月16日に内閣府の認可を受けて、公益財団法人へ移行致しました。
もともと公益財団法人として運営していましたが、2008年の「法人法改革」時に、 比較的自由に事業が行える一般財団法人を選択していました。
2012年には一般財団法人に移行し、そのまま2020年まで一般財団法人として運営されてきました。
それが今回、内閣府の認可により改めて公益財団法人へ移行することとなりました。
認可にあたり、2020年4月1日に「全日本剣道連盟《基本計画》〜次世代への継承に向けて〜」と題した中期ビジョンプランを策定し、これまで議論されてこなかった具体的な部分まで指針が表明されています。
また、これにはスポーツ庁策定の「スポーツ庁ガバナンスコード」にも準じており、現代に即した内容となっています。
今回明示されているテーマは、以下の3点です。
・競技人口目標
・ガバナンス体制目標
・財政目標
いずれも、これまで「課題は認識していながらも、対応しきれていなかった」部分であり、公益財団法人認可を機に、これらの課題に対処していくという「決意表明」に近い文書となっています。
|若年層競技人口の課題
従前より、「初段合格者数が明らかに減少している」「道場や中学校の部活動の人数が減少している」といった声は全国各地から多分にありました。
一方で現代の日本国においては、人口動態として「少子化」傾向であり、団体競技である野球やサッカーのほうが危機的状況にあるといったことあり、「実際の人口動態と比較してどうなのか」のデータが必要とされていました。
全日本剣道連盟では、「初段取得以上」の統計データしか取得していないため、小学生をメインとした無段者の子供の競技人口統計を持っておらず、実勢値のデータ分析が難しいという実情を抱えています。
その中にあって、今回かなり具体的な分析数値を発表している点は、かなり画期的と言えます。
フローの剣道等人口を測る目安である初段合格者数は、平成元年の約 6 万 2 千人(三道合計、以下同じ)に対し、平成 30 年には約 3 万3千人と約 46%減少している。初段 受審可能年齢(13 歳)人口の減少(約 180 万人から約 110 万人)とおおむね軌を一にし ている
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
直近 18 年間で子供の数は約 2 割減少しています。中体連の資料などによると”この 18年間で柔道と剣道は生徒数がほぼ半減(略)と、子供の減少率を大幅に上回っています。“ (月刊 武道 2020 年 1 月号) 高校生になると剣道から離れる生徒が多く、高校の剣道人口は中学校 のそれの約 50%という調査もある。
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
|ガバナンス
全日本剣道連盟では、これまで「倫理に関するガイドライン」(2018年11月2日制定・以後逐次改定)の制定や、各種通報窓口の設置等、地方を含めた剣道界全体のコンプライアンス遵守およびガバナンス体制の構築を図ってきました。
一方で、従来からの課題である「情報発信」の弱さ故に、浸透している状況とはいえず、各種不祥事もメディア等で散見される状況が続いています。
参考:全日本剣道連盟「倫理に関するガイドラインについて」
全剣連のガバナンスについては、おおむね適正に運営されていると考える。
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
としながらも、コンプライアンスを含むガバナンスの確立に対して、改めて提言を行っています。 以下にポイントごとに解説します
明示目標
具体的なゴール設定をしている点で、大きな進歩といえるでしょう。
コンプライアンスを含むガバナンスの確立を図り、スポーツ庁のガバナンスコードに関する統括団体による合同審査(令和 2 年度及び 6 年度を予定)について、指摘ゼロを目指す。
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
スポーツ庁のガバナンスコードは、以下13の原則項目から成り立っています。
2020年度にすぐにすべての項目を満たすのは難しいですが、2024年の指摘ゼロを見据えて内部の構造改革を行うのは、新たな時代を迎えるにあたって大変意義深い改革となるでしょう。
原則1 組織運営等に関する基本計画を策定し公表すべきである。
原則2 適切な組織運営を確保するための役員等の体制を整備すべきである。
原則 3 組織運営等に必要な規程を整備すべきである。
原則 4 コンプライアンス委員会を設置すべきである。
原則 5 コンプライアンス強化のための教育を実施すべきである。
原則 6 法務、会計等の体制を構築すべきである。
原則 7 適切な情報開示を行うべきである。
原則 8 利益相反を適切に管理すべきである。
原則 9 通報制度を構築すべきである。
原則 10 懲罰制度を構築すべきである。
原則 11 選手、指導者等との間の紛争の迅速かつ適正な解決に取り組むべきである。
原則 12 危機管理及び不祥事対応体制を構築すべきである。
原則 13 地方組織等に対するガバナンスの確保、コンプライアンスの強化等に係る指導、助言及び支援を行うべきである。
女性の登用及び普及
全日本剣道連盟では、「女子委員会」という部会を設置しており、女性指導者の育成や出産による離脱防止、育児後の復帰支援等を掲げています。
現状は、「女性向け大会」をメイン施策としていますが、単発的かつ安直な施策ではなく、「女性目線」での施策立案が急務となっています。
どうしても「男性重視」になりがちな競技環境において、多様性やガバナンスの観点からも、必要な施策と考えられます。
それらも踏まえ、以下のように明記されています。
スポーツ庁ガバナンスコードで求められているところの、女性理事・外部理事の一定割合の登用
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
コンプライアンス
依然として、剣道における暴力事件やパワハラ事案等が散見されるのは周知のとおりです。
これは剣道に限ったことではなく、スポーツ界全体としての課題でもあります。 日本の多くのスポーツが、「青少年の軍事的育成」をルーツとした「体育」に起因しており、そこからの脱却が求められているところです。
文中には、 以下のように記述されています。
地方組織に対するガバナンス確立・コンプライアンス徹底に関する指導の強化など、一部については道半ばである。
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
これは剣道連盟組織全体として、歴史的に地方剣道連盟への権限移譲部分が大きく、地方へのガバナンスが効きにくいという特徴に起因していると考えられます。
他の競技団体と比べると、中央集権的要素が小さく、特定の中央利権での搾取構造を作らないという大きなメリットがありました。
(例:昇級審査および五段までの昇段審査)
一方で、中央での意向が地方に伝わりきらず、地方では各地方剣道連盟の有力者によってある程度独自に運営されている自治体も存在しています。
また全日本剣道連盟としての情報発信力も限られることから、実際の競技者である一般の剣道家までは、コンプライアンス意識が浸透しきらない課題がありました。
これに対し、今回「地方組織に対するガバナンス確立・コンプライアンス徹底」と明記し、従来の課題に対応していく姿勢を鮮明にしています。
コンプライアンスに関しては、地方において暴力、体罰が引き続き発生している状況に留意する必要がある。
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
「全剣連倫理に関するガイドライン」の制定等を行い、指導者層(各都道府県のリーダー、講師要員(審判法・指導法)講習会受講生)や選手へのコンプラ研修を継続して実施している。
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
(略)剣道界において不祥事案の撲滅を目指す。
|財政課題
今回、もう一つ大変画期的である点は、「財政健全化」の目標を明示していることです。
なかなか「マネタイズ面」を語りにくい剣道領域において、運営本体が一定の目標を具体的にしていることは特筆に値するのではないでしょうか。
財政目標を明記 発表文書の中で、「当面の目標(基本)」として以下を明記しております。
財務基盤の構築に注力し、計画期間満了時(令和 6 年度)には収支均衡を達成する。
実は世界剣道選手権が日本と韓国での開催か続いていたこともあり、ここ数年間は選手強化にかなりの予算をかけている傾向がありました。
選手強化において年間約5,000万円程度予算消化し、年間予算で約1~1.5億円程度赤字である状況が続いていました。
そこで、直近では「骨太の剣士」等の合宿制度を廃止するなどの施策により、(2021年復活予定)予算削減を進めてきた経緯があります。
そして公益財団法人移行に伴い、財政均衡目標を明示した形となりました。
昇段審査 周知のとおり、全日本剣道連盟の最大の収入源は「昇段審査(六~八段位)」であり、それに対しても明確に言及されています。
参考記事: 【全日本剣道連盟のおサイフ事情】〜私たちの昇段審査料はどこへ?〜
財務については、登録料収入の減少と経費の増加により、収支均衡が達せない状態が続いている。
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
“全剣連の重要な収入は、審査料と登録料である。6段から8段の受審料及び登録料収入は~全般的には安定的に推移している。“
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
予算項目の組み換え整理
従前より、赤字分を「道場建設積立資産」より補填する状況が続いていました。
当該予算は実質的に「運営予算」となっていたため、2019年より予算項目を変更及び統合しています。
※〜2018:「道場建設積立資産」 → 2019〜:「運営強化積立資産」
また、2019年度に「運営強化積立資産」に統合されていた「世界大会積立資産」も、2020年度に復活予算計上がされています。
2020年度は約1,000万円が計上されており、世界剣道選手権(2022年5月に延期予定)に向けて積み立てを行っていくと考えられます。
費用削減
2019年度に、大幅な歳出削減が行われています。
以下に主なものを列挙します。
・賃借料:約-1,000万
・旅費交通費:約-6,000万円(2018年も約-3,900万円)
・会議費:約-1300万円
・給与手当:約-3,000万円
特に「旅費交通費」と「給与手当」の削減が大きくなっています。
前者は、全日本強化合宿を中心とした合宿の廃止が大きいと考えられます。
後者に関しては、退職手当は変化していないことから、退職者の増加ではなく、人員構成や雇用契約の変更等ではないでしょうか。
総合収支
2017年度実績:
経常収入約7.2億円
経常費用8.8億円
経常収支約-1.6億円
2018年度実績
経常収入約7.1億円
経常費用8.4億円
経常収支約-1.3億円
※2018年は世界剣道選手権開催年
2019年度実績
経常収入約6.9億円
経常費用7.1億円
経常収支約-2,200万円
※2019年度末(=2020年3月)頃よりコロナウイルス感染拡大
2020年度予算
事業収入約6.9億円
事業費用7.3億円
事業収支予測約-4,700万円
上記を見ると、2019年度におおよその財政均衡収支までの道筋をつけていたといえます。
公益財団法人への移行や役員交代等もあり、かなりの予算組み替えが進んだのでしょう。
事業費用だけで約8,000万円を削減し、人件費圧縮も重なったことから経常費湯ベースで約1.3億円の削減に成功しています。
もともと7~8億円の予算規模ですので、この数値は「大ナタを振った」といえるほどの規模といえます。
コロナウイルス感染拡大の影響
2020年度は、コロナウイルス感染拡大という未曽有の事態です。
予算発表段階ではすでに感染拡大が始まっていたとはいえ、当初予定よりも大幅に変わる部分も出てくると考えられます。
これは剣道のみならず、スポーツ業界全体、ひいては企業でも同じことが言えます。
上場企業の中でも、業績予測の発表を延期しているところも多い状況ですので、それでも予算を発表している点に関しては、内部の努力といえるのではないでしょうか。
令和2年の予算案(令和2年4月1日~令和3年3月31日)でも、「審査・登録事業収入」として約5億円を計上しています。
前年比約2,000万円の減少予測としていますが、それでも収入予算全体の約72%を占めるため、年間運営の「ほぼ全て」を握っているといっても過言ではありません。
一方で、もう一つ大きな収入源である「全日本剣道選手権」は、放映権料と思われる分を換算し、毎年約2,000万円の収益貢献となっています。
本事業年度に関しては、延期により2021年3月に開催予定と発表されておりますが、観客を入れるか否かが未定(使用施設および自治体判断)であるため、チケット収入が未確定な状況です。
上記のことを考えると、「感染拡大防止ガイドライン」制定により健康リスクを最大限ケアしながら、「昇段審査開催を優先して、諸大会を延期していく」判断は極めて自然といえるのではないでしょうか。
参考記事:全剣道家必読!【感染拡大予防ガイドライン完全解説】全日本剣道連盟 中谷行道・宮坂昌之
財政目標5か年計画
「全剣連5か年収支計画」と題し、今後5年での財政収支均衡への収支計画を発表しています。
先述のとおり、昇段審査の事業収入等は、今後大きな増加は見込まれないことから、基本的には歳出削減によって実現する予定であることが、表から読み取ることができます。
一方で、収支計画には盛り込まれていないものの、「新しい収入源確保」という部分も明示しており、民間を交えた新たな事業開発による歳入増加の可能性も示唆されています。
法人、個人を問わず多くの方の協力を得られるような新しい収入源確保に関する施策を立案、実行する予定である。
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
|組織のアップデート
様々な施策や改革を推進するため、組織の改変も記載されています。
以下に項目別に解説いたします。
専門委員会
全日本剣道連盟では、多数の競技人口に対して手掛ける分野が多岐にわたるため、従来より専門委員会を設置していました。 本指針ではこれらを再定義し、各委員会の役割を明示しています。
設置する委員会は以下のとおりです。
・普及委員会
・学校教育部会
・指導部会
・女子委員会
・称号・段位委員会
・試合・審判委員会
・強化委員会
・社会体育指導員養成委員会
・国際委員会
・医・科学委員会
・竹刀及び剣道具安全性特別小委員会
・アンチドーピング委員会
・居合道委員会
・杖道委員会
広報・マーケティング
全日本剣連連盟の組織全7 部門のうち、「広報部門」の陣容拡充が大きなトピックとなっています。
新たに「広報・マーケティング部門」として、管轄業務を拡充する見込みです。
競技人口増加および財政均衡達成にあたり、確実に必要となってくるのが、「情報発信」や「マーケティング」分野強化であると考えられます。
この分野は、特にこれまで苦手としてきた部分であり、公務員中心で民間登用が乏しく、さらに高齢化した組織内では推進が極めて難しい分野でありました。
これに対し、情報発信のみならず、「新たな収入源」としての事業開発にまで言及されています。
この分野に関しては、これまでの具体的な取り組み事例や成功事例が乏しく、おそらく「いかに専門人材を確保および育成するか」が鍵となってくると考えられます。
(人材に関しては後述)
広報部門に関しては、広報・マーケティング部 門として所掌事務を拡大し、新たな収入源確保も担当させることとする。
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
広報部門については、今後マーケティング業務(新しい収入源の開拓)を付加するため、この面の能力開発が必要である。
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
デジタルトランスフォーメーション
アナログでの作業が多かった業務に関しては、可能な限りデジタル化を進め、業務の効率化を図ると記載されています。
特に、各都道府県剣道連盟との連携に関し、従来非効率なオペレーションであったことから、都道府県剣道連盟とのネットワーク構築のサポートも行うとしています。
全日本剣道連盟のDXおよびIT化に対しては予算投下も行い、結果としてオフィス縮小による歳出削減を実現し、東京オリンピック後の事務所移転も予定されています。
いずれの部門においても業務運営がアナログ的で、非効率な仕事が多く 残存している(電話・郵便による日常の連絡、多量の郵便物の手作業に よる袋詰め等)。職員の IT リテラシー向上に注力し、パソコン、インターネット積極活用による効率的業務運営を進めさせ、同時に経費削減にも貢献できるようにする。
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
事務所の移転
現在九段下にある事務所は、東京オリンピック後の移転が予定されています。
これも、経費削減及びデジタル化の一環と明記されています。
実際に2020年度予算では、繰り戻される敷金が「敷金戻り収入」として900万円計上されています。 尚、東京オリンピック・パラリンピック開催予定に伴い、2020年12月より日本武道館内の北の丸事務所の一時閉鎖を決定しています。(2021年11月再開予定)
オフィススペースの縮小等引き続き管理コストの削減を実施していく。
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
ITの活用等による業務の効率化に注力する。特に令和 2 年度は、東京オリンピッ ク後にオフィス一部移転(スペースの大幅縮小)を実施するため、各部門の省スペース化、効率化を必ず実施する。
出典:全日本剣道連盟「全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて」
|「実行できるか」が全て
今回の指針は、これまで剣道界の最大の課題であった「戦略が無い」という部分において、大きな一歩を踏み出す内容といえます。
一方で大切なのは、いうまでもなく「実行できるか否か」であります。
机上のビジョンを具現化するためには、まだまだ課題があると考えられます。
人材はいるか
策定されたビジョン構想は、今までの硬直した剣道業界から考えると、かなりチャレンジングな内容です。
これを実行するためには、外部も含めた「人材」が重要となります。
特に「マーケティング」「ガバナンス」「ファイナンス」といった領域では、これまでの剣道業界の人材だけではなかなか難しいと推察されます。
これは他競技でも一緒で、競技によっては専門の人材外部から積極的に登用している組織もあります。
フェンシングの例
外部人材の登用で先行しているのが、フェンシングです。
運営団体である日本フェンシング協会は、会長にオリンピック銀メダリストの太田雄貴氏を据え、公益財団法人でありながら革新的な取り組みを次々と打ち出しています。
人材登用に関しては、民間の転職エージェントサービスを手掛ける「株式会社ビズリーチ」と組み、
・経営戦略アナリスト
・PRプロデューサー
・マーケティング戦略プロデューサー
・強化本部ストラテジスト
の4職種をビズリーチ内で公募採用しています。
いずれも副業・兼業前提で、通常よりも低コストでの各業界のスペシャリストの登用に成功しています。
競技人口の多さを生かす
剣道業界では指導層に公務員の方が多いため、上記のような知識を持った人材が少ない状況です。
一方で剣道の競技人口は、他競技よりも比較的多いことから、「剣道経験のある民間スペシャリスト」も多数存在しています。
そういったことから、今後民間外部からの積極的な人材登用も必要かもしれません。
|剣道の未来は明るい
競技人口推定200万人を抱え、90歳まで老若男女が取り組める剣道は、世界でもかなり貴重な存在です。
それ故に、これまで「考えることを避けてきた」課題が、時代の変化によって浮き彫りとなってきました。
これに対し我々一人一人が、「新たな時代」を作る当事者になることができれば、未来は非常に明るいといえるかもしれません。
そのためには、我々自身がより一層剣道のことを学んでいく必要があるのではないでしょうか。
全日本剣道連盟 参考リンク:
倫理に関するガイドラインについて
全日本剣道連盟《基本計画》次世代への継承に向けて