剣道家であれば、一度は重厚な手刺剣道具(防具)を使用してみたいと思ったことがあるのではないでしょうか。
そんな手刺剣道具(防具)の中でも、昔ながらの重厚感と高い使用感を持つ超老舗武道具店松興堂の「彌一号」(やいちごう)をご紹介していきます。
※分かりやすくするため、以下「防具」の表記とします。
松興堂とは
松興堂は、昭和初期から東京都渋谷区に店舗を構える老舗武道具店です。
社長の松本氏は、全日本武道具協同組合の理事長を務めるなど、業界を統括する存在です。
昔ながらの素材や伝統工法にこだわてり、何よりも「安全性」を一番に製作しています。
一方でネガティブに見られがちな、「頑丈で重い」というイメージではなく、シンプルで使いやすい防具を提供しています。
代表の松本孝仁のインタビュー記事はこちら:
【古き良きにこだわる】松興堂 松本孝仁(1)
【彌一号】とは?
「彌一号」の特徴は、手刺防具ながら”高い使用感”を実現しているところです。
重厚になりすぎずに、重量と弾力性のバランスをとった使いやすいモデルになっています。
高段者がつけているイメージを持つ手刺防具ですが、普段使用として手刺防具を身に付けたい方にもおすすめです。
1.5分刺を採用し、細かい刺し幅で重厚感を高めています。
一方で布団にコシがあり、硬くなりすぎない昔ながらの仕様です。
指の爪で刺すポイントを押さえて締め込む、「爪刺」を採用しているため、布団の中に糸を締め込みことができ、糸の摩耗が減り弾力性が長期に渡って維持されます。
また鹿革の中でも希少な部位である「小唐」を使用し、「高級防具」としての品格とブランドを備えます。
素材・仕様
全体
爪刺・燻し紺革
面
面金:IBBチタン
内輪:ビロード
その他仕様:肩口グノメ刺
小手
手の内:鹿革(小唐)
甲手頭:鹿毛
その他仕様:2段ケラ
垂
全体:燻し紺革
その他仕様:6段飾り
ショア硬さ:腹帯61.3cm・大垂中央部57cm
【彌一号】セット
【彌一号】面の特徴
【彌一号】面の特徴は、内輪にビロードを使用することにより肌触りがよくなっていることです。
また見た目はなんと言っても手刺防具なので、重厚感溢れる雰囲気を醸し出しています。
しかし弾力性もあるのでバランスの取れた仕上がりになっています。
素材・仕様
全体:燻し紺革
面金:IBBチタン
内輪:ビロード
その他仕様:爪刺・肩口グノメ刺
ショア硬さ:頭頂部71.5肩口66.5 突垂82.5
重さ
1596g
面のベース寸法
面布団の長さ:109cm
頭頂部前部厚さ:12.0mm
頭頂部出口厚さ:9.2mm
サイド肩口厚さ:6.5mm
【彌一号】面
【彌一号】小手の特徴
「彌一号」小手の特徴は、汗や脂に強い作り「燻し紺革」を全体に使用していることです。
「燻し紺革」は、もともと鹿革を燻すことで酸性化し、アルカリ性の藍染に強くする効果や、汗や脂に強い紺革素材です。
また弾力性や厚さがあり、耐久性を担保するために、手首部分のカーブや小手筒のサイズもあまり大きくなく、比較的コンパクトな形状になってます。
素材・仕様
全体:燻し紺革
手の内:鹿革(小唐)
甲手頭:鹿毛
その他仕様:2段ケラ
重さ
右261g
左258g
両手518g
小手のベース寸法
手首筒外側長さ:15cm
手首筒内側長さ:12.5cm
手首筒中心部厚さ:9.9mm
手首筒出口厚さ:8.2mm
※大人用サンプル品の採寸サイズです。あくまで目安としてご活用ください。
【彌一号】小手
【彌一号】垂の特徴
「彌一号」垂の特徴は、小手と同様に汗や脂に強い作りになっていることです。
燻し紺革を全体に使用し、汗や皮脂への耐性とともに、見た目の高貴さも保っています。
素材・仕様
全体:燻し紺革
その他仕様:6段飾り
重さ
941g
垂のベース寸法
腹帯縦幅:9.5cm
大垂横幅:16cm
大垂縦幅:30cm
腹帯中央部厚さ:7.3mm
大垂中央部厚さ:5.3mm
※大人用サンプル品の採寸サイズです。あくまで目安としてご活用ください。
【彌一号】垂
東京に老舗「松興堂」!
今回紹介した「彌一号」は、昔ながらで重厚感のある手刺防具ながら、使用感が高さを実現しており、高段者だけでなく手の届きやすいモデルとなっています。
手刺の防具の購入は考えている方は、「彌一号」を一度手に取ってみてはいかがでしょう。