中学生から剣道を始める人は、とても沢山います。
もちろん小学生からやっている子も多いですが、中学生からなら取り組み次第で十分追いつくことも可能です。
小さい頃から剣道をやっていた子も、大きく成長し今後の剣道人生を左右するのは中学校時代の環境、という方も多いと思います。
今回はそんな中学生の剣道事情についてご紹介したいと思います。
|中学生からの剣道
中学生時代に剣道をするという事が、どの様にその人に影響するのかをご説明します。
成長期と剣道(〜中学生)
中学生は女子にしても男子にしても身体が大きく成長する時期でもあります。
やはり成長が早い子、体格が良い子は圧倒的に有利で逆もまた然りです。
高校や大学では攻め合い・読み合いなどを重視する一方で、中学生の剣道は打ち合いの速さやタイミングに重点を置く傾向にあると思います。
筋力や身長があればあるほど、有利にはなってきますが、中には華奢で小柄なのに強い子もいます。
自分に合った、自分なりの剣道を見つけることも人間的成長につながっていきます。
さらにこの時期は精神的な成長期でもあり、反抗期に直面することも多いかと思います。
剣道を通して学ぶ、自我や目上の人への敬意、挫折や責任が作用し、反抗期を自分自身で乗り越える助けになるとも言えるでしょう。
高校以降の剣道
先述したように中学生の剣道と高校以降の剣道は大きく異なります。
中学ではまっすぐ強く早く相手の打突部位に竹刀を当てる、といった感じですが、高校では中心を攻め合って相手を動かし機を見て打ち込むというより高度な技術が求められます。
つまり、高校からいきなり剣道を始めるのは至難の技です。
初心者と経験者では大きく差が出てしまい、上達しても中々勝てず脱落してしまうかもしれません。
学生剣道において剣道を始める場合には、その後の活躍が見込めるのは、中学生が最後のチャンスかもしれません。
|学校と道場
中学生が剣道をするにあたって、大きく2つの環境があります。
1つは中学校、もう1つは道場です。
道場の「少年部」は通常小・中学生を中心に活動しており、高校生になるとそれぞれの高校に出ていきます。
つまり中学校の部活が盛んでない子でも、道場で活躍できるのです。
中学の強豪校と、強豪道場をいくつかご紹介します。
強豪中学
・九州学院中学校
強豪が集う九州でも随一の実績を誇る、熊本県にある中高一貫校。
超高校級の九州学院高校の監督も務める米田監督のもと、日本一を目指し稽古しています。
6年間の辛い稽古に耐え、日本一を取るという覚悟があって入部する子ばかりですから、その強さは並大抵のものではありません。
道場連盟の大会には、「九好会」名義で出場しています。
住所:熊本県熊本市中央区大江5-2−1
電話:096-363-2579
公式サイト:http://www.kyugaku.ed.jp/jhs/
・練馬区立関中学校
東京都練馬区に位置する強豪校。
近隣に全国的強豪道場「東松舘道場」があり、その卒業生が数多く在籍しています。
東京・関東ではもちろんのこと、全国大会にも毎年名を馳せています。
共学の公立校で、剣道部は男子女子ともにありますが、特に男子部の活躍がめざましい中学校です。
※参考記事:【少年剣道のさらに先へ】東松舘道場 榎本雄斗
住所:東京都練馬区関町北4-34-23
電話:03-3929-0048
公式サイト:http://www.seki-j.nerima-tky.ed.jp/
・東海大学付属浦安中学校
千葉県ではトップレベルの成績を誇る中学校で、私立の中高一貫校。
千葉県予選では個人団体ともに優勝を果たし、全国大会でもベスト8と好成績を残しています。
住所:千葉県浦安市東野3-11-1
電話:047-351-2371
公式サイト:https://www.urayasu.tokai.ed.jp/
・千葉県立幕張本郷中学校
東海大学付属浦安中学校と並び、千葉県や関東、更に全国で活躍する中学校です。
東海大学付属浦安中学校と比べると、男女ともに力を入れて活動しています。
住所:千葉県千葉市花見川区幕張本郷5-18-1
電話:043-272-3072
公式サイト:http://www.cabinet-cbc.ed.jp/school/jhs/052/index.html
・国士舘中学校
言わずと知れたスポーツ名門校であり、私立の中高大一貫校。
剣道においても全国レベルの実力を持っており、男女ともに活躍がめざましい強豪校です。
東京都内では男女アベック優勝を何度も経験しており、強豪大学として知られる国士舘大学の付属校でもあります。
中学から入学し、そのまま進学して国士舘大学剣道部にて活躍する選手もいるようです。
住所:東京都世田谷区若林4-32-1
電話:03-5481-3131
公式サイト:http://jhs.kokushikan.ed.jp/
・燕市立燕中学校
新潟県にある公立校。
女子が特に強いチームで、男子剣道部もありますが女子剣道部が古豪として昔から活躍しています。
数年前に、不慮の事故により剣道部女子主将の選手が死去したことでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
事故の半年後、残されたメンバーで猛稽古に耐え、見事その夏2年ぶり3度めの全国制覇を成し遂げたことは、大きな感動を呼びました。
今でも全国レベルの子が集い、日々日本一を目指して稽古に励んでいます。
住所:新潟県燕市秋葉町4-8-71
電話:0256-63-4075
公式サイト:http://www.tsubame-city.ed.jp/tsubame-j/
強豪道場
・東松舘道場
全国道場少年剣道大会や全国道場少年選手権大会などで幾度も優勝を飾り、高校や大学さらに警察などで活躍している有名選手を多数輩出している道場です。
中学生に関しても、全国の強豪高校へ人材を輩出しています。
住所:東京都練馬区石神井町1-11-32
電話:03-3997-6241
稽古日:火・木16:30~20:30、土16:00~20:00
公式サイト:http://www.tosyokan.org/home
※参考記事:【少年剣道のさらに先へ】東松舘道場 榎本雄斗
・愛知洗心道場
愛知県にある道場で、中部や関西出身の有名選手の多くがこの道場に所属しています。
全日本学生剣道選手権大会においてベスト8という実績をもつ内田師範長のもと、幼稚園児〜社会人・一般の方まで幅広く活動をしています。
住所:愛知県名古屋市中区橘2-8-55
電話:052-331-9578
公式サイト:http://www.senshindojo.com/
・いばらき少年剣友会
茨城県茨城町のいばらきようちえん内で小・中学生を中心に活動しており、2017年の第35会全国道場対抗大会では準優勝を収め、今勢いに乗っているチームです。
文武両道を目指しており、早稲田大学や明治大学などに進学するOBも数多くいるようです。
住所:茨城県東茨城郡茨城町小堤970-8
電話:029-292-0162
公式サイト:http://www.iba-kin.jp/kenyukai/
※参考記事:【皆が”帰ってくる場所”を作る】いばらき少年剣友会監督 雨谷水紀(1)
|中学生向け用具
いざ剣道を始める際に、気がかりなのは防具や稽古着などの剣道用具でしょう。
一度に全ての用具を買おうとしても、当然それなりのお金もかかりますし、その後続けるかわからないもの全て購入するのも気が引けるものです。
剣道具の値段相場を知った上で、ある程度のハードな練習にも耐えることのできるものを選びましょう。
安価なものであれば、
竹刀+竹刀袋+鍔+鍔止+道衣+袴→3万円程度
防具一式(面・小手・胴・垂)+防具袋+手ぬぐい+垂名札→7万円〜10万円程度
というところでしょうか。
最初からあまり張り切りすぎず、身の丈にあったものを揃えるようにしましょう。
参考記事:【剣道具の値段相場って?】
|中学生の練習法
前述しましたが、中学生は身体を作る時期であり、また技を身体に覚えこませる時期でもあります。
基本的な動き方を覚えるまでは、まずは反復練習が効果的でしょう。
その中でもより効果的な練習法をいくつかご紹介します。
素振り編
小学生までやっていた正面素振り、左右面素振り、跳躍素振りに加え、中学になると様々な素振りをすることが求められます。
・股割り
足を肩幅に開き、竹刀を大きく振り上げて床と平行になるまで振り下ろします。
お尻は膝の位置まで下げます。大腿筋が鍛えられ足腰が強くなります。
・踏み込み素振り
竹刀を振りかぶり、振り降ろすと同時に片足を前に出し大きく踏み込みます。
右足と左足を交互に出し左右を均等に鍛えます。
重心移動の感覚がつかめより強く正確な踏み込み足ができるようになります。
・手首返し素振り
構えた位置から一歩前に出ながら小手返し面の要領で手首を返し瞬時に構えた位置に戻します。
一歩下がりながら左に返し、一歩右に出ながら右に返し、同じく一歩左に出ながら左に返します。
4本1セットで5セット(20本)程繰り返します。
手首の返しの練習になります。
切り返し編
よく知られた基本的な練習ですが、切り返し1つとっても様々です。
・面で受けての切り返し
・竹刀で受けての切り返し
・早いリズムで面で受けての切り返し
・お互いの切り返し
・一息の切り返し
・胴の切り返し 等
切り返しは剣道の基本的な動作が全て含まれているとも言われているので、様々なものを試して自分に合った切り返しを見つけてみてください。
その他
その他にも本当に様々な練習方法があります。
一口に練習メニューといっても、世の中には無限にあると思います。
知っている限りでおすすめのものを数個ご紹介します。
・輪転機
対角線上に向かい合うように数人ずつ並び、真ん中にいる人に交互に面や小手を打っていきます。
真ん中の人は打っては振り返り次々と打ってくる技に全て応じます。
打った後の作りの速さや一本にする技術が磨かれます。
・打たせない掛かり稽古
掛かり手は通常の掛かり稽古のように空いているところをひたすら打ち込みます。
受け手はそれをひたすらさばき、打たれないようにします。
当たれば掛かり手の勝ち、時間内に当たらなければ受け手の勝ちです。
1回のルーティンでお互いに稽古ができ、時間を有効活用できます。
・面及び小手の応じ技
受け手は予め打つ技を敢えて伝えず、面か小手のどちらかを打ち、掛かり手はそれに応じます。
対応力が磨かれ、より実戦に近い稽古が出来ます。
どちらが来ても裏から擦り上げたり、小手を打っておいて相小手だったら2本目の面にいったりといくつかパターンがあるので自分に合ったものを見つけます。
|これから中学で剣道を始める人へ
中学での剣道は、小学生と比べ激しく厳しい世界です。
その分勝利の喜びは非常に大きいものです。
高校以降も剣道を続けるのならば、中学時代の環境はとても大事です。
慎重に自分に合ったクラブやチームを選びましょう。