【剣道における熱中症対策と対応とは?】

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暑い季節に特に気をつけたいのが、「熱中症」です。
特に剣道では剣道具(=防具)を着用するため、体内の熱が放射されず比較的熱中症の危険度が高い競技と言えます。
今回は、剣道における熱中症の危険性や過去の事例、稽古中の熱中症対策や熱中症になってしまった時の対処法等をご紹介していきます。

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|熱中症の危険性

剣道では室内で道衣や袴、剣道具をつけて稽古を行うため、室内スポーツの中で最も熱中症の危険性が高いと言われています。
また現在は新型コロナウイルスの感染防止のために面マスクを着用しての稽古のため、熱中症になってしまうリスクは非常に高いと言えます。

熱中症のⅠ~Ⅲ度

熱中症は重症度に応じて、3つに分類(Ⅰ度からⅢ度)されています。

熱中症のⅠ度(=現場での応急処置で対応できる軽症)は重症度の中では最も軽い症状ですが、「立ちくらみ」の状態であるめまいや失神、筋肉痛や筋肉の硬直、手足の痺れを引き起こします。

次に熱中症のⅡ度(=病院への搬送を必要とする中等症)では軽い意識障害を引き起こします。
頭痛や吐き気、嘔吐、倦怠感が症状として現れます。

熱中症の重症度で最も重症のⅢ度(入院して集中治療の必要性のある重症)では意識障害や痙攣、肝機能異常、腎機能障害、血液凝固障害といった症状が現れます。

熱中症の原因

熱中症は、体内から熱を放出しきれないことが原因と言われています。
熱を放出できないために、体内の水分や塩分が消失し、血圧の低下や筋肉の硬直を引き起こすとされています。

特に室内スポーツでは、室内の高温多湿や無風状態により、体温調節がうまくできずに熱中症になってしまうことがあります。

剣道では室内の高温多湿と無風状態に加え、道衣や袴が汗を吸収できなかったり、面の中が蒸れて高温多湿状態を作り出してしまいます。

このように、剣道は室内競技である上、競技特性の上でも熱中症を引き起こす可能性が非常に高い競技と言えるでしょう。

水分摂取の難しさ

剣道では面をつけるため、稽古の中で逐次水分を摂取することが難しいと言えます。
また面をつけているために、周囲が熱中症に気づきにくいといった懸念もあります。

こまめに水分補給のための時間を取り、なるべく喉が渇く前に面を外して水分を補給する必要があります。

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稽古中は、こまめに水分補給の時間を取る必要がある。

|過去の熱中症の事故事例

2009年8月大分県の県立高校剣道部で、男子部員が稽古中に熱中症になり死亡するという事故がありました。
男子部員は稽古中、ふらついたり異常な動きをしていましたが、稽古が中断されることなく熱中症による多臓器不全で亡くなりました。

この事件では、男子部員が体の異常を訴えていたにも関わらず、稽古を中断せず、さらに体罰行為を行ったとして当時の顧問と副顧問に賠償責任が認められました。

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亡くなった工藤剣太さん
画像出典:「NEWS23」スタッフノート

|稽古中の予防策

①室内管理

道場内の温度と湿度、風通しには十分注意しなければなりません。
熱中症予防指針では、気温が28℃〜30℃の時は熱中症に警戒し積極的に休憩を取るようにしましょう。

気温が31℃を超えた時は、厳重警戒で激しい運動はなるべく禁止とされています。

②こまめな水分補給

水分補給は、積極的に行うようにします。

稽古前、稽古の合間、稽古後は十分に水分補給を行ってください。
稽古の合間には、目安として1回に約200mlのスポーツドリンクを2〜3回飲むようにしましょう。

③栄養補給

水分補給の際には、塩分も同時に補給するようにしましょう。

日本スポーツ協会では、熱中症の予防策として0.1%~0.2%のナトリウムと糖分を含んだ飲料水を摂取するように推奨しています。

1時間以上の運動では、4~8%のナトリウムと糖分を含んだ飲料水を摂取するようにしましょう。

④睡眠

十分に睡眠を取る、風邪をひいている場合は稽古を控えると言ったことも熱中症を予防するためには重要なことです。

⑤こまめな休息

面マスクをつけて稽古する際は、普段の稽古よりも熱中症のリスクが高くなるため休息を多く設けましょう。

面をつけたまま、ストローで水分補給することもできますが、剣道具をつけていることによる体温上昇もあるため、積極的に休息を取り、水分補給をうと良いでしょう。

⑥撥水性の高いジャージ道衣

稽古をする際には、綿の道衣(=剣道着・道着)は、水分の撥水性や速乾性が低く、熱中症になる可能性が高まります。

撥水性や速乾性が高いジャージ生地の道衣を着用すると、より体温上昇を抑えられる可能性が高まります。

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⑦暑熱順化

また体内の熱を放散する、熱放散機能を鍛えることも重要です。
普段から暑さに体を慣らし、低い体温でも汗を掻くことができるように体を慣れさせます。

これを「暑熱順化」と言います。
暑熱順化によって、早いタイミングで多くの汗の量を出せるようになります。

暑熱順化の方法としては、
・冷房に頼らない生活を心がける
・風呂で汗を書く習慣をつける
・有酸素運動を行う
等が挙げられます。

暑さに順化するためには、一般に1週間〜10日かかると言われています。
一方で数日間怠るだけで、順化の効果が消えていきますので、注意しておく必要があります。

環境の変化が大きい時期や、生活のリズムなどが変わる休日等の時期には、熱中症に特に注意して取り組む必要があるでしょう。

環境の変化が大きい時期や休み明けなどの時期には熱中症に注意する必要があります。たとえば以下の時期などは要注意です。

・湿度・温度の高まる梅雨入りや初夏、梅雨明け
・お盆休み明け
・新型コロナウイルスによる自粛明け

なお、持久力や筋力などとは異なるため、いわゆる「体力」のある人にも必要なことです。

このため、順化していないまま、暑い時期に稽古を行わないよう、計画的に暑熱順化を行う必要性があります。

全日本剣道連盟「暑熱順化

暑熱順化の実施例

暑熱環境で稽古をするために、1 週間〜10 日前から自律神経・内分泌系を「目覚めさせる」必要性があります。そのための方法として、以下のことが効果的です。

・汗をかくように運動をする
・半身浴やサウナなどで汗をしっかりかく
・冷房を控えめにする

全日本剣道連盟「暑熱順化
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暑熱順化の重要性を表すグラフ。
画像出典:cramer japan

|その他の熱中症対策

上記にご紹介した他にも、有効な熱中症対策は多数あります。
できる範囲の対策を取り入れて、快適で安全な稽古を心がけましょう。

猛暑時の稽古計画

まずは稽古時間は長時間やるのではなく、短時間で集中して行う稽古メニューに切り替えるのも良いでしょう。

実戦的なメニューをにするなどして、その他の基本的な素振りなど稽古は自主的に取り組むようにすると良いかもしれません。

熱中症・健康管理の教育

体温や体の調子、水分量等を記録することを習慣付けるのも良いでしょう。
自分の体を知ることができ、異変にもすぐに気づくことができるため、熱中症の予防にもつながるでしょう。

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熱中症のメカニズムと対策。
画像出典:全日本剣道連盟 医・科学委員会

|全日本剣道連盟への報告システム

全日本剣道連盟では、剣道における熱中症患者や事例を把握するために、2020年6月17日〜9月30日の期間限定で「剣道における熱中症報告フォーム」を開設しています。

剣道の稽古や試合等の活動内において、熱中症が発生した場合は症状の程度に関わらず広く事例や情報を収集しています。

報告事例の統計も随時発表されていますので、熱中症についての理解や、剣道における安全の確保に、是非役立てましょう。

・全日本剣道連盟事務局 熱中症報告システム対応窓口(03-3211-5804)
・全日本剣道連盟お問い合わせフォーム(https://www.kendo.or.jp/contact-form/
*1)「剣道における熱中症」とは、剣道の稽古、試合、審査等で起こったもので、その症状についてはⅠ〜Ⅲ度の分類すべてを含みます。詳細は以下をご確認ください。
>全日本剣道連盟HP「熱中症」 https://www.kendo.or.jp/knowledge/medicine-science/heatstroke/
*注)入院を伴う熱中症の場合は、「剣道重大事故」となりますので、所属団体(都道府県剣道連盟など)にもご報告いただきますようお願い申し上げます。

[全剣連] 剣道における熱中症 報告フォーム
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報告フォームは以下のリンクから
画像出典:[全剣連] 剣道における熱中症 報告フォーム
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報告件数や内訳を随時発表している。(2020年8月11日段階のデータ)
画像出典:全日本剣道連盟

|具合が悪くなった時の対応

具合が悪いと気づいた場合は、まずはじめに意識がはっきりしているかの確認を行います。
そこで意識の有無を確認するため、名前や日時等を聞くと良いでしょう。

次に顔色、体温、脈拍や呼吸の状態を確認します。

意識がある場合

意識がはっきりしている場合は、涼しく風通しのいいところで安静にさせます。
剣道具を外し、袴の紐を緩めます。寝かせる時は足を高くします。

体を冷やすために、冷やしたペットボトルや氷嚢などを前頚部(首の付け根)、腋窩部(脇の下)、鼠蹊部(股関節部)に当てます。
また濡らしたタオルを皮膚に当て、体温を下げます。

水分は冷たいものを用意し、経口補水液やスポーツドリンク等を摂取させましょう。
この時、水分はなるべく自分で摂取するようにさせると良いでしょう。

意識が無い場合

自分で水分が飲めない場合や呼びかけに対する応答に異常が見られる場合、または意識がはっきりしていない場合には、無理に水分を飲ませると気道に流れ込む危険があるため、即座に病院で点滴をする必要があります。

実際に医療機関を受診する熱中症の10%弱が、熱中症重症度のⅡ度やⅢ度です。
意識障害がある場合には、ためらわず医療機関を受診するようにしましょう。

意識がない場合は直ちに救急車を要請します。
救急車が到着するまでの間、呼びかけに応答しない場合は無理に水分を飲ませず、涼しい場所で休ませ、体を冷やすようにしましょう。

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全日本剣道連盟でも、重点的に注意喚起を行っている。
画像出典:全日本剣道連盟

|熱中症に気をつけよう!

以上の通り、剣道は熱中症の危険性が非常に高いと言えます。
稽古をする際には、道場内の高温多湿を避け、風通しを良くしましょう。

空調設備のある道場では、締め切った方がことで室温を下げられるケースもあります。
施設に合わせて、快適な安全で空間作りを心がけましょう。
(コロナウイルス感染防止対策では、窓を開けることを推奨しています)

そして、こまめに水分補給を行うことが最も重要です。

昨今の気温上昇で、以前よりも熱中症の危険度が高まっています。
積極的に休息と水分補給を行い、熱中症を予防しながら安全に稽古を行いましょう。

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