皆さまは、「剣道イノベーション研究所」をご存知でしょうか？
「剣道イノベーション研究所」は、世界初の「オンラインサロン型道場」という形を通して、従来の道場のあり方をアップデートする取り組みを行なっています。
この１年間で急速に会員数が伸びていますが、剣道界全体からみればまだまだ馴染みが薄く、「何をやっているかわからない」「何となくピンと来ない」といった声も聞かれます。
サロン開設1周年を迎え、この度大規模リニューアルを行ったとのことで、事業責任者の大友洋一氏に、改めて「剣道イノベーション研究所」について徹底解説頂きました。
（以下 KENDO PARK=KP 大友洋一氏＝大友）
|「オンラインサロン型道場」とは？
KP：
まず「オンラインサロン」というものについて、改めて教えてください。
大友：
オンラインサロンとは、もともと月額会費制によりオンライン上で展開される、会員制コミュニティの総称のことです。
それを剣道の道場に転用し、時間や場所を選ばず剣道の研鑽を行えるようにしたのが、オンラインサロン型道場「剣道イノベーション研究所」です。
ここで着目いただきたいのは、決してオンライン化すること自体が重要なのではなく、剣道の持つ「実際の相手と対峙する醍醐味」と、道場の持つ「コミュニティ」としての機能を、忠実に表現及び実現することにこだわっているということです。
結果として、リアルでの稽古会やライブ配信を数多く開催しているほか、Facebookを使ったクローズドなコミュニティ運営も行っております。
昨今、YouTubeをはじめとした動画プラットフォームが浸透したことで、剣道関連の動画サイトや、月額制でのコンテンツ配信サービス等が出てきております。
しかし、「剣道イノベーション研究所」はそれらとは明確に異なり、「実際の道場の本質を失わない」という点に徹底的にこだわっています。
|課題の解決
「剣道イノベーション研究所」は、剣道愛好家が抱える様々な課題を解決すべく生まれた、全く新しい道場の形です。
それでは、どのような課題を解決され何が実現されるでしょうか。
「時間と場所」を超える
KP：
「剣道イノベーション研究所」が解決したい課題を教えてください。
大友：
特に社会人剣道家に見られることですが、以下のような経験はありませんでしょうか。
・転居により、特定の指導者からの指導を受けられなくなった
・勤務時間の関係で、平日稽古に行けない
そういった地理的課題や時間的課題を、オンラインコンテンツを組み合わせることで解決し、単純な「稽古量」だけに依存しない研鑽を図っています。
パーソナライズされた研鑽
KP：
パーソナライズされた研鑽体制も、ポイントの一つです。
大友：
一般的な道場は大人数に対する全体指導が中心であることが多く、また多様なレベルや段位の方がいるため、人によってはなかなか個別の質問がしにくい状況であるのではないでしょうか。
また特定の指導者がいない剣道クラブや社会人サークル等では、それぞれがYouTubeや書籍等で情報収集を行なっているケースも多いのではないでしょうか。
そういった方に対しても、個人のレベルに合わせてパーソナライズされた指導を実現し、剣道を探求できる環境を整えています。
また、特定の指導者がいらっしゃる方においても、より高い剣道感を求める学習のサポートとして活用できる仕組みとなっています。
知識習得と実践の融合
KP：
座学を中心としたプログラムなのでしょうか？
大友：
剣道は「事理一致」という言葉もあるように、技の鍛錬と、理合の修養を車の両輪の様に双方学ぶことが重要と言われています。当研究所でも決して座学や稽古のどちらかに偏ったものではなく、あくまでその両方を重視しています。
稽古時間が十分にある学生時代は、激しい稽古による鍛錬が可能ですが、年齢を重ねるごとに、「稽古量」に頼った鍛錬が難しくなります。
その一方で、剣道を歴史や理法の部分から学ぶ機会は、なかなか多くないのではないでしょうか。
そこで「剣道イノベーション研究所」では、正しい知識を習得し、長年にわたって高い剣道観を求める環境を整えています。
また、それを実際の稽古の中でも生かす取り組みを行なっております。
|実際のサービス内容とは？
これまで挙げたような課題を鑑み、「剣道イノベーション研究所」では新たな剣道探求の形を提示しています。
サロン内では、単純な技術指導だけではなく、剣道の歴史や過去の剣道家の研究、また昇段を見据えた立合や日本剣道形、指導現場での試合論や指導論等、全方位的にテーマを取り扱っています。
会員特典として、実際にサロン内でどのようなことが行われているのでしょうか。
特典① 指導動画＆コラム配信
KP：
「剣道イノベーション研究所」で提供している特典を教えてください。
大友： 一つ目は、指導動画とオリジナルコラムの配信です。
サロン主宰者の岡田守正八段より、毎週指導動画とオリジナルコラムを配信しています。
それに加え、過去のライブ配信のアーカイブ動画や、特別映像等も配信しています。
尚、後ほどご紹介する会員プランにより提供している特典が異なりますので、詳しくは公式サイトをご確認ください。
特典② 会員限定Facebookグループ
大友：
2つ目は、会員限定コミュニティへの参加です。
会員限定の非公開Facebookグループにて、日々会員間の交流やディスカッションを行っています。
グループ内には、各地域で指導に当たっている方や、日本代表クラスの選手等もいらっしゃいますが、段位や年齢、性別、国籍等は関係なく、高い剣道観を求めて全員がフラットな関係で交流しています。
自己の稽古動画等も投稿可能ですので、それを基に会員間で検証を行ったり、岡田守正先生からコメントを頂いたりして、日々の研鑽を行っています。
特典③ ライブ配信
大友：
3つ目は、会員限定コミュニティへの参加です。
岡田守正先生より、講義や質疑応答のライブ配信を行っています。
取り扱うテーマも幅広く、その場で質問もできるため、普段の道場では聞きづらいことでも、しっかりとサポートしています。
配信の模様は後日アーカイブ配信も行っているため、忙しい方でも後からキャッチアップすることが可能です。
特典④ 定期稽古会
大友：
4つ目は、会員限定定期稽古会への招待です。
オンラインで学んだことを基に、会員限定の稽古会を行っています。
毎回具体的なテーマを設け、学んだ内容を実際の稽古の場で実践できる環境を作っています。
一般によくある「打ち込みと地稽古のみ」という稽古とは明確に異なり、基礎から応用まで内容の濃い稽古を行っています。
稽古の模様は、ライブ配信および後日にアーカイブ配信もしており、遠方の方やお忙しい方でも、リアルに近い形で参加可能です。
特典⑤ LINEでの個別指導
大友：
5つ目は、サロン専用LINEアカウントでの個別指導です。
サロン専用LINEアカウントを開放しており、公には質問しづらい方や、個別に動画添削等を希望の方は、LINEにて個別指導を行っています。
なかなかコミュニティ内で発信するのが難しいと感じる方でも、個別のサポート体制を構築しています。
特典⑥ オンライン博物館
大友：
6つ目は、オンライン博物館の資料閲覧です。
主宰者の岡田守正氏（教士八段）が、先々代・先代から受け継いできた過去の資料や、岡田守正氏本人が収集してきた映像資料等を、再編集および精査の上で配信していきます。
※2021年8月開始予定です。
|選べるプラン
「剣道イノベーション研究所」では、3つの会員プランを用意しています。
リニューアル（2021年6月）を機に会員プランを増設しており、各人の研鑽スタイルに合わせて、プランを選べる形となっています。
以下に、会員プランの内容をご紹介頂いております。
ゴールド会員（4,400円/月）
KP：
それぞれの会員プランについて教えてください。
大友：
ゴールド会員は、全ての特典を受けることができます。
特にライブ配信・定期稽古会・LINE個別指導に参加可能であり、オンラインとオフラインを組み合わせた研鑽を行うことができます。
これらにより、パーソナライズかつ連続性を持った修練が可能となっています。
シルバー会員（1,800円/月）
大友：
シルバー会員は、コンテンツ視聴に特化したプランです。
双方向での直接的コミュニケーションは少し難しいが、コンテンツ視聴を通して剣道の知見を得たい方向けのプランとなっています。
毎週指導動画とオリジナルコラムが配信されて、過去のアーカイブコンテンツも視聴可能です。
また不定期にライブ配信への招待も付いていて、不定期にて直接の質疑応答をすることも可能です。
ブロンズ会員 （500円/月）
大友：
ブロンズ会員は、入り口として「まずお試しで見てみよう」という方に向けたプランです。
月に1回指導動画とオリジナルコラムが配信され、配信されたコンテンツは過去のアーカイブも視聴可能です。
|海外展開
KP：
海外への本格展開も開始されたそうですが、それについても教えてください。
大友：
今回のリニューアルを機に、海外向けプランが本格リリースされています。
会員プランは日本語会員と同様に、英訳コンテンツや英訳付きでのライブ配信、また非公開Facebookグループ内でも、英語によるコミュニケーションが可能となっていいます。
第1回目の公開ライブ配信では、約10カ国40名ほどの外国人の方々が参加しています。
将来的には、海外で稽古会や講習会等を開催し、さらにその模様を国内にも配信するといったような、これまでとは逆の形も実施することができればと考えております。
|会員の皆様の特徴
KP：
会員には、どのような方々がいらっしゃいますでしょうか？
大友：
「剣道イノベーション研究所」には、多種多様な方々に入会頂いております。
会員の方々には、年齢は20歳代から70歳代まで、段位も初心者から七段まで幅広くいらっしゃり、男性女性はもちろん、海外からの会員も多数在籍しています。
会員の皆さんは、多様な動機でサロンに参加頂いています。
・昇段を目指したい
・剣道の歴史を学びたい
・基礎から学び直したい
・指導者として知識を身に着けたい
・地域に師となる先生がいない 等々
色々な目的はありますが、皆さんに共通しているのは、「高い剣道観を求めている」ということです。
会員の中には、地域の道場ですでに師となる先生がいらっしゃる方も多いです。
そういった中で、決して「剣道はこうあるべきだ」という価値観を押し付けたいわけではなく、師となる先生の指導とあわせて、別の視点やエッセンスとして学習いただき、より高い剣道観を求めていらっしゃいます。
|変えていくものと変えてはいけないもの
KP：
「剣道イノベーション研究所」という名称の意味を教えてください。
大友：
「剣道イノベーション研究所」という名前には、様々な意味が込められています。
「イノベーション」という文言を入れているのは、現代のテクノロジーや価値観を用いて、道場を時流に合わせてアップデートするという意味で盛り込みました。
しかしこれは、あくまで「形式」の部分の話で、道場が持つ本質的価値を磨き上げることにこだわっています。
それは
・私塾としての地位
・伝統文化伝承の聖地
・相手と対峙し修練する場
・徳の高いコミュニティ
といった普遍的価値の部分です。
さらに剣道を探求していくことで、こういった普遍的価値を追い求めるという意味から、「～館」や「～クラブ」等ではなく、「研究所」と名付けました。
|サロンへの想いと今後の展望
KP：
「剣道イノベーション研究所」の運営に参画された背景を教えてください。
大友：
私どもは、アデリープランニング株式会社という会社を運営しております。
ホームページ構築などを主としたWEB制作会社です。
姉が代表をしており、兄弟で営んでいる小さな会社です。
会社の事業自体は、これまで剣道と何ら関わりはありませんでした。
ただ我々兄弟の血筋は、剣道と大きく関りがあります。
母方の祖父は千葉県剣道連盟の元会長で、早稲田大学剣道部OBの和田金次先生、そして祖母の父親は、範士十段斎村五郎先生となります。
つまり主宰の岡田先生のお祖父様、初代館長守弘先生が師事され、剣道イノベーション研究所でも度々紹介される斎村先生は、我々兄弟にとって曾祖父にあたります。
私が尚道館（@東京都杉並区・岡田守正館長）の門弟ということもあり、剣道イノベーション研究所立ち上げ当初より撮影やサイト制作などお手伝いをさせて頂いておりました。
立ち上げから1年が経ち、会員が増加していく中で、会員コンテンツの検索の不便さ、外国人の方向けの言語対応など、旧来のホームページでは限界が来ていたところでした。
そこでリニューアルを機に、ホームページ構築だけでなく事業会社として全面的に運営に関わらせて頂くことになりました。
その背景としては、祖先である斎村先生の剣の教えを、この剣道イノベーション研究所と岡田先生を介し、後世に残し伝えることに会社として取り組んでいきたいと考えているからです。
KP：
今後の展望を教えてください。
大友：
「剣道イノベーション研究所」は、2020年3月の開設以来、順調に会員数を増やしています。
開設から1年の間に、単純なコンテンツ配信のみならず、様々な取り組みやアップデートを行ってまいりました。
・最新配信機材の導入
・実践稽古会の開催
・稽古のライブ配信
・遠隔2箇所での同時稽古
・海外へのライブ配信講義
・「見取り稽古講座」「剣道の歴史講座」「剣道形講座」 等
今後、さらに会員が増加していくに伴い、より先進的かつ多角的な取り組みが想定されております。
・剣道具研究講座
・剣道具開発
・地方稽古会の開催
・一般企業との講演および研修タイアップ
・会員による研究論文発表
・一般シニア初心者向け講座
・障害者向け講座
・海外遠征 等
このように、「道場」の枠を超えた活動にも取り組んでいく見込みです。
|剣道観を高めよう！
オンラインサロンという形は、剣道においてはまだまだ馴染みがありません。
「道場の在り方を再定義する」という目的からは、依然遥か道半ばというところです。
リニューアル（2021年6月）を機に、全国及び海外へ本格展開する体制を整えています。
「剣道イノベーション研究所」では、随時会員を募集していますので、是非剣道探究の道に触れてみてはいかがでしょう。
参考記事：
【剣道オンラインサロン開設の想い】「剣道イノベーション研究所」教士八段 岡田守正
「剣道新発見」剣道イノベーション研究所 岡田守正（剣道日本2020年12月号掲載）
剣道具専門通販セレクトショップ【KENDO PARK】
