全国の「オープン大会・練成会」について、ご紹介いたします。
所属する道場やチームによって、参加する大会の数はバラつきがあります。
また、社会人の方だと団体に所属していないと大会へのエントリー自体難しかったり、自分のレベルにあった大会が見つからないという問題があります。
そのため、誰でも参加資格のあるオープン大会についての情報を掲載いたします。
|オープン大会とは?
オープン大会とは、その名の通り「すべての人にエントリーの資格がある」大会の事を指します。
大会によって年齢や性別を指定しているものも多いですが、基本的には過去の戦績や所属する団体などを問わず、出場資格さえ満たしていれば誰でも気軽にエントリーすることができます。
試合には実際に審判や役員がつき、またリーグ戦やトーナメント戦などさまざまな形式ではあります。
「負けたら終わり」の真剣勝負であることには変わりないため、オープン大会と言っても雰囲気は公式大会と比べて遜色ありません。
さまざまな理由から、普段大会に出場する機会がなかなか得られない人も多いと思いますが、そんな方はオープン大会を利用して実戦経験を積むと良いでしょう。
尚、海外ではこのような形式のトーナメントは一般的で、世界各国で毎週のように行われています。
|練成会とは?
練成会とは、連盟の他に学校や実業団、道場などが主催して行う合同の稽古会の事です。
場合によっては、リーグに分けて練習試合を行ったりするケースもあります。
従来であれば、こういった機会は主催者側からの招待により参加資格を得るところですが、昨今では多くの方に参加してもらえるよう、オープンエントリーによって自由に参加することができるものも。
練習試合後には合同の地稽古を行う事もあり、より多くの人と剣を交える機会があるのが練成会のメリットであると言えるでしょう。
|小・中学生のオープン大会・練成会
小・中学生のオープン大会は、基本的に地域レベルでの開催が多いです。
練成会に関しては、多くが道場を主催として開催されているようです。
全日本少年少女武道錬成大会
全日本剣道連盟が主催するオープン参加の全国大会で、毎年日本武道館で開催されています。
※2020年は、東京オリンピック開催期間中のため中止となる可能性がございます。
全日本剣道連盟主催のため規模が非常に大きく、夏休み期間に2日間にわたって行われます。
試合錬成は小学校4年生から参加でき、男女別、学年別の区別はありません。
錬成大会と題す通り、単なる試合ではなく、基本打ちの修練具合を判定する「基本錬成」も含まれるのが特徴です。
全日本道場連盟主催の「全国道場少年剣道大会」とは異なり、地方予選がない上にウェブ上からもエントリーできるのも特徴です。
宮本武蔵旗
1997年から毎年熊本県で行われている、全国レベルの少年向けオープントーナメントで、全国の強豪チームも数多く参加します。
江戸時代の剣豪宮本武蔵が、熊本で晩年を過ごしたことにちなみ、「剣聖宮本武蔵旗全国小・中学生剣道大会」という正式名称で開催されています。
「小学校低学年」「小学校中学年」「小学校高学年」「中学生男子」「中学生女子」にカテゴリ分けされ、個人戦と団体戦の両方が行われます。
九州勢を中心に、関東の強豪チームも参加しています。
特に中学生男子の部では、地元の九州学院中学校から数多くのチームが出場することでも知られています。
開催年によっては、地元九州学院高校との合同稽古も実施されています。
山岡鉄舟杯
幕末から明治にかけて活躍し、一刀正伝無刀流(無刀流)の開祖でもある山岡鉄舟にちなんだ大会です。
毎年東京都で行われ、「山岡鉄舟先生顕彰少年剣道錬成大会」の名称で開催されています。
「小学校低学年」「小学校高学年」「中学生」の3カテゴリにて、団体戦トーナメントを行っています。
関東圏の強豪チームが、数多く参加する大会でもあります。
石川県ジュニア強化錬成会
石川県で開催される、剣道練成会です。
この練成会では試合練習を中心に、朝から夕方まで練習試合と合同稽古を行います。
規模もそれなりに大きく、県外や他地域からの参加者もいるようです。
からっ風練成会
群馬県藪塚本町で開催される練成会です。
錬成会の最後には、選抜選手による紅白戦も行われます。
「達磨杯争奪剣道大会」も同時に開催され、関東圏の強豪チームを中心にレベルの高い大会となっています。
「高崎だるま」にちなみ、大会入賞チームには、だるまがプレゼントされています。
|高校生のオープン大会・錬成会
高校では、「〜旗」というような名称の大会が数多く存在します。
これらの大会では、オープンエントリーの大会もあり、ほとんどの大会に「錬成大会」の日程が組み込まれています。
多くの場合は、本大会前に数日間グループ総当たり戦形式の「錬成大会」を行い、その後本大会を迎えるケースが多いようです。
その分、学生としては多くの試合経験を得ることができます。
玉竜旗
高校剣道の「3大大会」と称される大会で、九州剣道連盟と西日本新聞社の共催にて毎年福岡県にて行われます。
男女合わせて合計6日間にわたって行われ、オープンエントリーのため、2019年には参加チームが男女合計900チームにも達した日本最大の高校剣道トーナメントです。
男女ともオープン参加式で、一人が勝ち抜く限り試合を続ける「勝ち抜き戦」形式が最大の特徴です。
「5人抜き」達成者はもちろん、過去には「15人抜き」や「20人抜き」達成者も出ています。
また、大将が一度も出場することなく優勝を果たすことを「座り大将」と言い、2017年には九州学院高校が達成したことでも話題となりました。
魁星旗
秋田県で開催され、秋田県剣道連盟、秋田魁新報社、秋田県高等学校体育連盟が主催する剣道大会です。
こちらもオープン参加制で、玉竜旗と同様に「勝ち抜き戦」形式が最大の特徴です。
毎年「全国選抜大会」の日程の続けざまに開催されることが多く、全国選抜大会に出場した強豪チームが、本大会に一斉に参加してくるのも特徴です。
疲労の中での「勝ち抜き戦」となるため、選手層と選手起用が試される大会でもあります。
水田三喜男旗
毎年千葉県で開催される、城西国際大学主催の大会です。
大会名は、同大学の創設者である水田三喜男の名にちなんでつけられています。
全国から100校以上の高校が参加しており、大会と合わせてグループ総当たり形式の錬成会も開催されているようです。
|大学生のオープン大会
全日本学生オープン大会
全日本学生剣道連盟が主催するオープン大会です。
開催地は年によって異なり、例年地方での開催が多い大会です。
普段試合に出られない学生向けに、男女ともに二段以下の部と三段以下の部でカテゴリ分けしています。
多くの学生が参加する個人戦大会で、リーグ戦による予選を行い、勝ち抜いた者が決勝トーナメントへと出場する事ができます。
|社会人のオープン大会
東京都スポーツフェスティバル(春季・秋季)
「新日本スポーツ連盟東京都連盟」という団体が主催する、完全オープン型トーナメントで、毎年春季・秋季の年2回にわたって東京武道館第二道場で開催されています。
年齢別や段位別でカテゴリ分けしているので、初心者でも同等レベルの方と試合をすることができます。
チーム設定も自由で、知り合い同士で集まって出場しているチームも数多くあります。
社会人剣道サークルのチームが、数多く出場することでも知られています。
残心杯
毎年1月ごろに開催されるオープン大会で、東京池袋の和風(剣道)スポーツバー「残心」によって主催されています。
小学生エントリーと、大人エントリーの2種類のエントリーがあります。
大正大学の剣道場で開催されることが多く、都内の社会人剣道サークルが数多く参加します。
大会後には、「残心」において懇親会が行われるのも特徴です。
毎日レディース剣道大会
全日本剣道道場連盟が毎日新聞社と共催で開催する、女性専用のオープン大会です。
毎年東京都日野市で開催され、女性剣士の間ではメジャーな大会となりつつあります。
女性専用の大会ということで、女性剣士であればどなたでも参加することができますが、特に体育会学生以外の女性剣士をメインターゲットとしています。
年齢別に「すみれ・梅・桃・桜・藤の部」に分かれ、特に桜の部や藤の部では、女性七段を含めた有名な女性剣士が出場することでも知られています。
・すみれの部(ジュニア)
先鋒=女子小学生 / 中堅=女子小学生 / 大将=女子中学生
※すみれの部(ジュニア)は、道場連盟の加盟道場のみの参加とする。
・梅の部 (30才未満)
※学生(高校生または大学生)は1チームにつき、1名のみ出場できる。
・桃の部 (30才以上45才未満)
・桜の部 (45才以上60才未満)
・藤の部 (60才以上)
お通杯
女性専用のオープン大会で、毎年岡山県美作市が主催および現地で開催されています。
年齢別にエントリーが分かれ、最高で100歳の方まで出場できるため、高壮年の女性剣士も多く出場しています。
近年では、海外からも女性剣士の方も出場されており、美作市の自治体のほか、総務省やスポーツ庁の後援を受けるなど、地方創生の事業としての位置付けも有しています。
岡山県美作市には、江戸時代の剣豪宮本武蔵の生家があることから、「【お通杯】宮本武蔵顕彰女子剣道大会」という正式名称がつけられています。
・団体戦
選手合計年齢100歳以下の部
選手合計年齢101歳以上の部
・個人戦
18~29歳の部
30~39歳の部
40~49歳の部
50~59歳の部
60歳以上の部
水滸杯剣道練成大会
任意団体「京都梁山泊」が主催し、毎年京都武道センターの「武徳殿」にて開催される完全オープン大会です。
参加資格を「18歳以上の剣道を愛好する人」とし、交剣知愛を重視した内容が特徴です。
西日本勤労者剣道大会
高知県剣道連盟が主催し、毎年高知県で行われるオープントーナメントです。
参加チームが極めて幅広く、地元道場のほか、関西や九州の実業団チーム、また四国各県の県警チームまで出場しています。
四国圏の社会人大会としては、かなり大規模な大会です。
西部日本剣道大会
福岡県で開催される、団体戦形式のオープン大会です。
社会人はもちろん、学生も多く参加しています。
大学などの所属団体を問わず自由に参加することができるため、任意でチームを組んで出場することも可能です。
香港アジアオープン剣道大会
毎年3月頃に、香港で開催される剣道のオープン大会です。
国際的なオープン大会の中でも、日本からの参加が非常に多い大会です。
アジア各国のチームはもちろん、現地の日本人駐在員、日本の大学生や社会人チーム等も参加しています。
男子団体では、日本の「ソニー」チームが連覇を果たしています。
他の国際トーナメントと同様に、大会日程の中には「段審査」「合同稽古」「晩餐会(=サヨナラパーティ)」があり、海外の剣道家と交流を深めることができる貴重な場でもあります。
香港への旅行を兼ねて、参加してみるのも良いでしょう。
参考記事:【海外剣道への想い】剣道教士八段 東倉雄三
(東倉氏は、ソニーチームとして優勝6回を数える。)
|オープン大会に参加しよう!
剣道の大会は、季節や会場の制限、また所属チームによって参加できる大会が限られてしまします。
特に社会人の方は、道場などで続けていてもなかなか大会に出場する機会が少ないのではないでしょうか。
そこでオープン大会を活用することで、日頃の稽古の成果を試す場を持つことができます。
また、日本や海外各地へ赴く良い機会にもなりますので、是非一度参加してみてはいかがでしょうか。