【アメリカの剣道事情とは?】

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アメリカ(米国)には、古くから日系人の方や日本のビジネスマンが数多く居住していることもあり、剣道が盛んな地域の一つです。
その裾野は広く、全米剣道連盟(All United States Kendo Federation)は14もの地域剣道連盟を束ねています。
また2006年の世界剣道選手権において、アメリカ代表が外国チームとして初めて日本代表を破った事でも知られます。
今回は、そんなアメリカの剣道事情をご紹介いたします。

KENDO PARK

|道場・チーム事情

アメリカではどのように剣道が広まり、稽古が積まれているのでしょうか。

比較的日系人の多いカリフォルニア(西海岸)とニューヨーク(東海岸)を中心に、ほとんどの州に1つ以上の道場や剣道チームが存在しています。

一方でチーム数には偏りがあり、大型道場「武徳殿道場」(代表:有賀太郎)を有するカリフォルニア州では、かなりの数の人口とチーム数がある一方、南部、南東部(ジョージア州、テネシー州、フロリダ州、ケンタッキー州等)は比較的チーム数が少ないというのが現状のようです。

広い国土にあって、地域によってチーム数が大きく異なる。

|剣道の捉え方

アメリカはスポーツ大国であり、野球、アメリカンフットボール、バスケットボールなどをはじめとしたメジャースポーツが盛んであります。

その一方、アメリカにおいて日本の「侍(サムライ)」や、いわゆる「武士道」といったものは大変人気があり、その影響もあって剣道を始める方が多いそうです。
特に映画「ラストサムライ」や、漫画「るろうに剣心(英題:Samurai X)」は、少なからず影響を与えているようです。

また、各地域の道場のみならず各大学等にも剣道チームがあるため、そこで剣道を見て始める方も多いようです。
このようなチームでは、日本人駐在員が一緒に稽古をしたり指導を行なっているケースも多いため、非常に盛んに稽古が行われています。
日本人駐在員にとっても、海外における貴重なコミュニティーとなっています。

アメリカの方は体格に恵まれている方々が多く、その大きな体格を生かしたパワーあふれるダイナミックな剣道が特徴的です。
また他国と同様に、代表チームにはアジア系人の方が多いのも特徴です。

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今や、アメリカ全土に広がる剣道。

|アメリカの道場

アメリカには、全土にわたって数多くの道場が存在します。

ニューヨーク神武館

ニューヨーク神武館は、ニューヨーク州ホワイトプレーンズ(White Plains)に拠点を置く剣道道場です。

毎週の稽古では、陶山研先生(錬士六段)、沼田忍先生(錬士七段)の指導の下、剣道の基本に忠実に鍛錬を行っています。
稽古のほか、セミナー、大会への参加など、積極的に活動を行っております。

稽古も、初心者向けの人経験者向けの稽古日を分けたり、稽古の中に日本剣道形の時間を設定したりと、きめ細かなで基本に忠実な指導が特徴です。

神武館の理念

日本剣道の理念を大切にしているため、道場理念として以下のように明示されています。
日本から遠く離れた地でありながら、その形を守るという明確な意志表明にもなっています。

剣道とは、「剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である(日本剣道連盟より)」と定められています。
これは、正しい鍛錬による、人としての成長を意味してます。

本土を離れた土地においては、競技としての戦法など先行してしまい、このような剣道の根本的な理念や思想は、継承するのが難しいこと少なくありません。
神武館では、このような理念はもちろん、技の修練においても剣道の規範に則り、強く、正しく、美しい剣道を目指しています。

出典:神武館公式HP

HP:http://ny-shinbukan.org/
住所:New York Sports Clubs,4 City Pl, White Plains, NY 10601, USA
メール: info@ny-shinbukan.org
稽古日:水曜・土曜

▼水曜
対象:経験者のみ
時間:午後7時〜午後9時

▼土曜
対象:初心者、経験者
時間:
午後4時〜午後4時半(経験者:剣道形、初心者:基礎練習)
午後4時半〜午後6時半(基本、技の稽古、地稽古 等)

画像出典:ニューヨーク剣道道場 神武館

武徳殿剣道道場

武徳殿道場は米国最大の剣道道場のひとつで、カリフォルニア州アーバイン市にあります。
AUSKF(全米剣道連合)、IKF(国際剣道連盟)に加盟している南カリフォルニア剣道組織(SCKO)のメンバーです。

教士七段にして、世界的剣道具通販サービス「e-bogu」の最高経営責任者である有賀太郎氏が運営しており、3つのレベルのクラスを設定し多彩な指導陣が指導にあたっています。

少年クラスは2012年、2015年、2016年に全米トーナメントで優勝しています。
少年の部は、「基本クラス」と「防具クラス」という2つのグループに分かれており、防具(剣道具)を着用せずに基本に重点を置いて練習するクラスと、防具(剣道具)をつけてのより高度な動きを学ぶクラスで、自分のレベルに合わせて学ぶことができます。

毎年、南カリフォルニア剣道組織(SCKO)と全米剣道連盟(AUSKF)が主催する様々なトーナメントに出場しており、実績でもアメリカNO.1ともいえるでしょう。

一般の部は、高校生以上の大人中心のクラスです。
このクラスでは年齢、性別、剣道修練期間を問わず、どなたでも受講できます。
上級レベルでは剣道の基本の修練はもちろんのこと、試合で使える高度な技や昇段審査等への心構え、剣道の奥深い指導を行っています。

初心者や中級者、あるいは学生以来剣道をやっていなかった方なども、指導者や先輩方のサポートの下で剣道のさらなる上達を期待することができます。
上級者に対しては、高度な技と試合で使える技術を備え、ハイレベルの指導を全面的に運用しています。

HP: http://www.butokuden.com/jp/japanese-martial-arts/kendo/
住所: 1581 Browning, Irvine CA 92606, USA
メール: kendo@butokuden.com
電話番号: 866-DO-KENDO (866-365-3636), 949-756-8880
Facebook: http://www.facebook.com/groups/73052462309/

▼少年の部 (基本クラス/防具クラス)
時間:火曜日・木曜日4:30~6:45PM
対象年齢:7~14歳(または同等のレベル)
会費:$50/月(無段),$45/月(初段)

▼一般の部(基本クラス/防具クラス)
対象年齢:14歳以上
時間:火曜日・木曜日7:00~9:00PM

▼武徳殿水曜稽古会(地稽古のみ)
対象年齢:全年齢
時間:7:00-8:15PM

武徳殿,アメリカ
武徳殿剣道道場の様子。
画像出典:武徳殿剣道道場HP

ヒューストン剣士館

アメリカ南部の道場としては、比較的有名な道場です。
南部の大都市ヒューストンに位置し、近年ダラスとともに開発発展が著しいエリアのため、剣道への流入人口も増えている地域です。

トヨタの北米本社をはじめ、日系企業進出に伴い、日本人駐在員も増加傾向にあり、その分日本人剣道家が稽古や指導に訪れる機会も増えているようです。

Mark Kerstein(Mr.)六段が指導にあたり、剣道とともに居合道のクラスも運営しています。

HP:https://www.houstonkenshikan.com/
住所:St. Andrew Lutheran Church, 1353 Witte Road, 77055 , USA
メール:houstonkenshikan@gmail.com
稽古日:
月曜・火曜・金曜(午後7時〜-8時半)
土曜(午後6時〜7時半)

アメリカ南部では、比較的大きい道場。
画像出典:ヒューストン剣士館

|アメリカ代表チーム

もともと日系人の方が多いアメリカでは、古くから剣道が行われていたとされています。
実際アメリカ代表チームは、1970年の第1回大会から今日まで、世界剣道選手権に毎度出場しています。

剣道では日本と韓国が強豪国とされていますが、日韓を除くいた海外チームの中では、強豪チームとして知られています。
特に男子団体チームは、世界剣道選手権において2度の準優勝(2006年・2009年)に輝いています。

日本代表を撃破

アメリカ代表といえば、2006年の世界剣道選手権(@台湾)男子団体において、外国勢として初めて日本チームを破ったの事でも知られます。

直前の練習試合では、日本の大学相手に完敗を喫していたのですが、そこからチームを立て直し、スター揃いの日本チームを破ったことは、今でも語り草となっています。

当メディアでも、剣道日本編集長の安藤雄一郎氏に当時の回顧録を執筆いただいております。
よろしければ、あわせてご覧ください。

【ジャイアントキリングの科学〜Team USAの奇跡(1)〜】
【ジャイアントキリングの科学〜Team USAの奇跡(2)〜】
【ジャイアントキリングの科学〜Team USAの奇跡(3)〜】
【ジャイアントキリングの科学〜Team USAの奇跡(4)〜】
著:剣道日本編集長 安藤雄一郎

USA クリストファー・ヤング選手 vs 日本 中田淳選手
(2006年世界剣道選手権男子団体)
出典:teamusakendo 公式instagram

アメリカの代表選手

アメリカ代表選手には、日本の筑波大学等に剣道留学をしていた選手も数多くいます。
その中でも、「ヤング兄弟」は日本でも強豪選手として知られています。

そこで、アメリカの有名選手を何人かご紹介いたします。

クリストファー・ヤング

クリストファー・ヤング氏は、カリフォルニア出身の日系アメリカ人2世です。
幼少期にアニメ「六三四の剣」を見て剣道を始め、18歳からアメリカ代表選手として活躍なさいました。

世界的名門大学であるカリフォルニア大学(=UCLA)バークレー校に在学中に、日本の筑波大学へ剣道留学を果たし、日本の剣道を学ばれました。

2006年からはアメリカ代表チームのキャプテンを務め、2006年世界剣道選手権では大将として男子団体に出場し、日本撃破の立役者となりました。
その後、所属する弁護士事務所を休職し、剣道修行のため警視庁特練チームにも所属なさいました。

2015年までアメリカ代表チームのキャプテンとしてチームを率い、世界剣道選手権では2度の準優勝に導きました。
2015年の世界剣道選手権(@東京)を機に現役を引退し、現在はテキサス州プラノの道場で、後進指導にあたっていらっしゃいます。

現在教士七段にして、トヨタ自動車の国際弁護士としても活躍なさっています。

剣道米国代表
中央がクリストファー・ヤング氏。
画像出典:flickr “USA KENDO TEAM” By simulacre

ダニエル・ヤング

ダニエル・ヤング氏は、上述のクリストファー・ヤング氏の弟さんで、兄であるクリストファー・ヤング氏と一緒にアメリカ代表チームを牽引してきました。

特に、2006年の世界剣道選手権男子団体では、日本戦において次鋒として出場し、高鍋進選手(現・警視庁)を撃破した事でも知られます。
この1勝がチームを勢い付け、日本チーム撃破の契機となりました。

現在は兄であるクリストファー・ヤング氏と共に後進指導にあたっているほか、アメリカ高校選抜チームを率いて、監督として日本の魁星旗(@秋田県)に出場するなど、日本との交流も続けていらっしゃいます。

右がダニエル・ヤング氏。
画像出典:高野台剣友会

丸山・ゴドガンガー・サンディ

ゴドガンガー・サンディ氏は、4歳の時に日本へ移住し、小学生の時に剣道を始めたという異色のキャリアの持ち主です。

その後国際武道大学へ一般入試で進学を果たすと、同大学剣道部で腕を磨き、2003年の世界剣道選手権(@グラスゴー)からアメリカ代表に挑戦なさいました。
2003年大会では代表落選となりましたが、大学卒業後にアメリカへ移住し、2006年大会(@台湾)からアメリカ代表に選出され、上述の日本戦にも先鋒として出場なさいました。

その後、2009年大会(@ブラジル)、2012年大会(@イタリア)、2015年大会(@東京)の合計4大会にアメリカ代表として出場し、長きにわたりチームの主軸として活躍なさいました。

現在はアメリカで飲食店のほか、国内大手武道具店のアメリカ支店立ち上げにも参画なさっています。
剣道においても、七段を取得され、地元道場のガーデナ剣道クラブで後進の指導にもあたっていらっしゃいます。

丸山・ゴドガンガー・サンディ氏。
画像出典:ガーデナ剣道クラブ

アメリカ剣道を体感しよう!

今や剣道は、アメリカ全土に広がりつつあります。
日本で剣道を学んだ方や、日本からの駐在員や指導員も数多くいらっしゃいます。

そういう意味でも、アメリカ剣道は日本の剣道のスタイルを大切にしているといえるのではないでしょうか。
我々日本人にとっても、アメリカに滞在する際には、剣道チームは必ずや貴重なコミュニティとなることでしょう。

機会があれば、アメリカの現地チームや道場に足を運んで、アメリカの剣道を肌で感じてみるのも良いのではないでしょうか。

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