【我々がやらなければ誰がやる】東山堂/ミツボシ 木村隆彦・林孝洋・木村利英

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東山堂木村隆彦

▼武道具店インタビュー▼

我々がやらなければ誰がやる

〜東山堂 / ミツボシ 木村隆彦・林孝洋・木村利英〜

ミツボシを経営統合した東山堂。
武道具店としては特異な”投資力”について、お伺い致しました。

(以下 KENDO PARK=KP   木村隆彦氏=木村隆 林孝洋氏=林 木村利英氏=木村利)

KENDO PARK

株式会社東山堂

1989年京都府長岡京市にて創業。

剣道具の海外販売からスタートし、早期よりオンライン販売にも参入。

2010年岩手県久慈市に日本武道具製造株式会社設立。

2014年には株式会社ミツボシを経営統合し、2016年に東京ショールームを開設。

2017年有限会社神奈川八光堂と共同開発で、A-1αシリーズをリリース。

木村隆彦

1958年生まれ。 大学卒業後に単身海外へ 帰国後に大手情報会社へ入社。
1989年 株式会社東山堂を設立。
2008年 「武(HOKODOME)」を社章として商標登録。
2009年 真言宗高野山にて得度 (法名 宝極)
2010年 純国産武道具の製造と普及のために新会社を岩手県に設立。※

日本古来の技術と伝承と若手職人育成を行っている。
現在、日本国内をはじめ世界70カ国以上に販売。

出典:東山堂社長ブログ

林孝洋

2005年株式会社東山堂入社。

事業立ち上げから営業全般を担当。

剣道教士七段。(2018年7月現在)

木村利英

2015年株式会社東山堂入社。
株式会社ミツボシ経営統合に伴い、2016年同社代表取締役社長就任。


|オンライン専業から投資フェーズへ

KP:

東山堂は、早期から剣道具のオンライン販売に着手なさいました。

木村隆:

東山堂は、もともと海外販売からスタートいたしました。

当初はカタログを製作して送るという手法をとっていたのですが、あまりにも大変であったのでインターネットでの販売を行うことに致しました。

当時はまだインターネット黎明期で、電話回線で接続するため、インターネットに接続するだけでも時間がかかるような時代でした。

もちろんGoogleやYahooもなかったので、書店や図書館で教本を調べながらゼロから立ち上げるという状況でした。

KP:

開始当初はどうだったのでしょうか?

木村隆:

インターネット販売を始めた当初は、まだ剣道具をオンラインで買うお客様も少なかったので、なかなか売れませんでした。

しかし「インターネットは近い将来、必ず革命を起こすものになる」という確信があったので、取りやめるようなことはしませんでした。

継続していくうちに、少しずつ売れるようになっていきました。

KENDO PARK

KP:

今では全国的に見ても大手武道具店となられました。

木村隆:

2007年に聖護院店を開店したのを皮切りに、京都市内に3店舗を出店したところから徐々に東山堂の名前が浸透していきました。

そこから、明確に投資フェーズに入ったように思います。

2010年に日本武道具製造株式会社を設立、2014年に株式会社ミツボシを経営統合、2017年には総延べ床面積5000平方メートルの物流センターを滋賀県大津市に開設いたしました。

もちろんこれだけの投資をすることは簡単ではないですが、武道具店として常に新しい挑戦をしていきたいと考えています。

東山堂京都西陣本店
東山堂京都西陣本店ショールーム
KENDO PARK

KP:

武道具店経営者で、そういった投資ができる方も少ないと思いますが、そのモチベーションはどこから来るのでしょうか?

木村隆:

一番は使命感です。

そもそも20年程度前までは、どこの武道具店も繁盛していました。

それなりに競技人口がいる市場ながら、大手スポーツメーカーも参入して来ないため、そこまで企業努力をしなくても、「作れば売れる」状況でした。

このように、コスト管理や商品開発を行ってこなかった歴史があるため、そこの風穴をあける存在として東山堂の登場は業界に取っても大きかったと思います。

どこにもできないからこそ、「俺達がやらないといけない」という使命感は、今でも強く感じています。

KP:

投資に踏み切る際の、判断のポイント等はあるのでしょうか?

木村隆:

今まで、損得勘定や事業計画を細かく計算して事業投資に踏み切ったことはありません。

もし計算をしていれば、それが逃げ道になったり消極的になったりして、成功しないことのほうが多いと考えるからです。

ある意味では、「バカになる」ことは必要だと思っています。

これらの考え方は、私自身が剣道家ではないからこその柔軟さからきていると思います。

変なしがらみを意識することなく、「まずやってみる」という姿勢を大切にしています。

KENDO PARK

KP:

事業投資の姿勢もさることながら、A-1αの開発などのように、初期投資が大きいイメージもあります。

木村隆:

どこの業界でも同じだと思いますが、良いものや良いサービスを生み出せば、必ず真似をされます。

それがわかっているので、ある意味では「最初から一気に突っ込む」ことを意識しています。

これにより、副次的効果として「逃げ道を作らない」ことも挙げられます。

事業立ち上げの際は、まず林に話してみることが多いです。

色々と議論になるのですが、「林、逃げさせないぞ」という形で、私が一気にゴーサイン出すことも多いです。

もちろん林から背中を押されて、ゴーサインを出すこともありますので、その辺りはうまくバランスが取れているのではないかと思います。

東山堂木村隆彦
創業者にして代表の木村隆彦氏
KENDO PARK

|「まずやってみよう」を実践

KP:

ありがとうございます。ここからは林さんにお伺いします。

事業立ち上げから営業全般まで、幅広く担当なさっていらっしゃいますが、やってみていかがですか?

林:

私は2005年に東山堂に入社いたしました。

私自身も一剣道愛好家ですが、「剣道をしながら人脈を築いていく」と言う感覚は、やっていて本当に楽しいです。

実は他社の方々を見渡しても、もともと店主だった方を除いて、従業員として武道具店にいながら八段まで昇段した人はほとんどいません。

ビジネスももちろんですが、八段昇段も目標としています。

八段昇段というのは、あくまで剣道家としての目標です。

一方で剣道業界を知っていくうちに、八段を取得すれば東山堂社員としてもできることが多くなると感じています。

見方を変えれば、剣道を職業としている以上、稽古するのも指導をいただくのも、東山堂社員としてはすべて”商談”であるとも考えられます。

これらの両立が、私の中での大きなテーマです。

とはいえ、各剣道連盟や高段者の先生など、普通の剣道愛好家では行かないようなところに一人で訪問するので、最初は慣れるまで大変でした。

特に全日本剣道連盟の福本修二先生(現副会長)のところに行くのは、毎回大変緊張しました。

しかし、それらも結局は剣道家としてのしがらみやイメージが先行している結果であり、実際は本当に良い方ばかりであることがわかりました。

今では、各方面で皆様に大変可愛がっていただいています。

※参考記事:【’97 世界剣道選手権の回顧録】 全日本剣道連盟副会長 福本修二

東山堂林
営業の最前線に立ちながら、七段保有者でもある林孝洋氏。
KENDO PARK

KP:

木村社長もおっしゃっていた通り、東山堂の事業投資の姿勢は他社には真似できないものですが、現場としてはいかがですか?

林:

数々の事業を通して、「まずやってみよう」という姿勢が重要だとわかりました。

もちろん失敗することもありますが、別に命を取られるわけではないのですし、後先考えずやったことの方が、案外成果が大きいことも数多くありました。

大切なのは、失敗を無駄にせず、次のチャレンジの糧になるかどうかだと思います。

社長も私も「中途半端を嫌う」性格なので、そのあたりは東山堂のスタイルとして表れていると思います。

ただ一方で、最低限の経営感覚は必要だと感じています。

私は経営者ではないので、お金の面の決裁権限はないですが、人員(ヒト)と商品物流(モノ)に関しては、経営的観点から見るように意識しています。

現場感覚と経営感覚がずれていくと、会社自体もうまく回っていかないと思うので、そのあたりの感覚は社長を見て学ぶようにしています。

KP:

林さんビジョンを教えてください。

林:

「武道として」や「スポーツとして」云々といった、複雑な議論抜きに、単純にメジャースポーツ・武道として剣道が世界に広まれば良いと考えています。

剣道は国籍が関係ないばかりか、世代を超えて一緒にできることが大きな魅力です。

将来的には、道場に行けば多国籍の方々が三世代に渡って普通に稽古している光景を作りたいと考えています。

そのためには、もっと細やかな普及施策が必要だと思います。

東山堂でも定期的に錬成会などのイベントを行っておりますが、本当に大切なのはそういった仰々しいイベント等ではなく、情報発信や道場の受け入れ態勢など、来る人への細やかな施策だと思います。

剣道の普及というと、どうしても「イベントなどをやる」ことになりがちですが、それ以上に継続性や連続性が大切だと思います。

この感覚は、東山堂が外国人観光客の多い京都に位置していることも関係しているかもしれません。

東山堂 剣道
豊富なラインナップが販売の強み。
KENDO PARK

|IBB セーフティーガードの開発

KP:

最後に木村利英ミツボシ社長に、今後全防具に装備予定のISG(=IBB SAFETY GUARD)についてお聞きしてもよろしいでしょうか?

木村利:

ISGは、突垂の裏に取り付ける喉部保護ガードです。

もともと、突きからの喉部の保護というのは、剣道具にとって長い間の課題でした。

突き垂自体の面積が小さい上に、打突に行く時には動作として必ず顎が上がるため、いわゆる「迎え突き」の時には防護効果を発揮しないことが問題でした。

ミツボシ 木村利英
経営統合後にミツボシ社長に就任した木村利英氏。

そこで、2010年頃にISGの原型となるものが開発されました。

現在と同じようにマジックテープで留めるタイプであったのですが、当時はマジックテープが弱く、接続性に問題がありました。

形状や素材も、面の装着感を阻害するものであり、なかなか普及しませんでした。

そこで2015年あたりから独自に開発を始め、全日本剣道連盟や全国の先生方とも話し合いながら完成にこぎつけました。

現在一部商品には付属しておりますが、今後全防具(面)商品に付属していく予定です。

IBBセーフティガード
IBBセーフティガードについて
KENDO PARK

KP:

開発秘話を教えてください。

木村利:

実証実験として、林と北海道の古川和男先生(範士八段)の稽古動画を撮影いたしました。

古川先生は、以前から指導として「迎え突き」を多用なさるのですが、こちらが心配になるくらい激しい稽古でした。

林は「ISGが無かったら、怖くて打ち込んで行けない」と言っていましたが、観ている側からしても、あながち本音であったのではないかと思います。

ISGを装着することで、怪我の防止も勿論ですが、子供達が先生に対しても思い切って面を打ち込めるようになれば良いと思います。

動画出典:IBB セーフティガード検証 - 古川和男剣道範士八段の突きで安全性を実験

KENDO PARK

|武道を通して「戈を止める」

KP:

最後に木村隆彦社長にお伺いします。

東山堂・ミツボシとして、剣道業界に対するビジョンや想いを教えてください。

木村隆:

東山堂のロゴは、武(ほこどめ)と言う文字をあしらっています。

これには、武道を広めることで、争いの無い世界を作る」と言う意味が込められています。

まさしく「戈(ほこ)を止める」ということです。

これが事業をやる上での大きなビジョンとなっています。

また商品開発にあたっても、「商品技術で、剣道人口が増えない理由を潰す」と言う意識で取り組んでいます。

たとえば「剣道は臭い」と言うイメージがあると思いますが、こういった課題を商品テクノロジーで解決していきたいと考えています。

こういった新しい取り組みによって、業界に風穴をあけるような存在でありたいです。

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