【剣道具製作に「優しさ」を】安信商会 専務取締役 安藤豪浩

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「剣道具製作に”優しさ”を」

〜安信商会 専務取締役 安藤豪浩〜

名古屋の大手剣道具メーカーとして知られる安信商会。
長きにわたり全国に剣道具を供給し、フジダルマブランドをはじめ、自社でもオリジナルの商品開発を行っています。

これまでの道のりと、剣道具製作への想いを、安藤専務にお伺いしました。

(以下 KENDO PARK=KP    安藤豪浩氏=安藤)

– 安信商会 沿革 –

1937年(昭和12年)6月 1日創立
1966年(昭和41年)11月30日、現在の所在地に移転
1976年(昭和51年)九州福岡市に福岡支店を設立し、九州地区の得意先への販売促進を行う。
1988年(昭和63年)新社屋落成。現在の社屋となる。
2003年(平成15年)9月、代表取締役に安藤誠悟就任。

出典:株式会社安信商会 公式HP

|繊維業からのスタート

KP:
安信商会の成り立ちから教えてください。


安藤:
昭和12年に、祖父がスポーツ用品販売を始めたところから始まりました。
創業当初は、スキー用品やボール等を製造・販売していました。

その後、戦後すぐから剣道をはじめとする武道再興期が始まり、武道着をはじめとする繊維用品の販売に注力していきました。
当時から名古屋エリアに根ざして販売を行い、リヤカーを引いて行商スタイルで販売を行っていたようです。

当初14~15年程度は、個人商店のような形で事業を行なっておりましたが、昭和25年に「株式会社安信商会」として法人登記いたしました。


KP:
そこから、どのように剣道具(防具)販売に移行していったのですか?


安藤:
剣道具製作に携わるようになったのは、1970年代頃からでしょうか。
当時の剣道具製作は完全に分業制で、名古屋のエリアにも各パーツや部品を制作する職人や工房が多数存在していました

彼らに製作してもらった部品を弊社で組み立て、全国の小売店に販売を開始いたしました。

当然それなりの施設や設備も必要となるので、並行して福岡市に支店を開設し、在庫管理や剣道の盛んな九州エリアへの営業も開始いたしました。
このとき開設した福岡支店が、そのまま現在の福岡の社屋となっています。

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創業70年もの歴史を誇る。
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|海外での生産拠点構築

KP:
そこから海外生産が盛んになっていきました。


安藤:
1990年代頃から、韓国での剣道具生産が始まりました。
安信商会では早くから海外生産にも着手し、韓国の職人を弊社に呼び寄せて、日本の職人の元で修行をさせたりしていました。

彼らは韓国に戻って、工場で剣道具製作を行なっていましたが、そのうちすぐに中国やフィリピンに移って、剣道具工場を設立していきました。
現在の海外工場のほとんどは、この時期に設立された物が元になっています。

当時日本国内では、中学生や高校生でも手刺剣道具を買ってた時代でした。
日本では高価なものしか流通していなかったため、海外製の剣道具は飛ぶように売れていました。
それに伴って国内の小売店も増加し、地元の学校や道場だけでも、十分ビジネスが成り立つような状況でした。

一方で、ある程度の品質でも売れていたため、品質改善にかなり時間がかかりました。
結果として、我々が満足いくような品質の剣道具が安定生産できるようになるまで、10年程度かかったように思います。


KP:
現在はベトナムをメインに生産なさっています。


安藤:
2010年前後から、ベトナムへの生産拠点の移転を始めました。

中国で剣道具工場を運営していた方々が主導し、ベトナム現地工場の整備を行いました。
彼らが各セクションのリーダーとなり、現地の従業員の方々に教えていく形で体制の構築を行いました。

中国移転の際のノウハウがあるので、以前よりは早く生産体制が整いましたが、それでも生産が安定してくるまでに3~4年程度かかりました。


結果として、現在では約180名もの体制で剣道具製作にあたっており、我々が満足できるクオリティのものが、安定的に製作できるようになりました。
おかげさまで、各方面から品質には高い評価をいただいております。

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「優しさ」がキーワードと言う安藤専務。
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|「優しさ」をユーザーに

KP:
現代は、事業環境の変化が大変著しい時代となりました。


安藤:
変化の激しい時代において、「変化に対応する」ことの重要性を感じています。

現在は、かつてに比べ良い天然材料が手に入らなくなり、今までと同じように剣道具製作ができなくなってきています。
そこで、日頃から新たな繊維や素材にはアンテナを張りながら、自社の工房で日々商品開発を行なっています。

また2020年2月頃からのコロナウイルス感染拡大を受け、弊社も創業以来と言えるほどの厳しい状況に直面しています。
弊社は70年もの歴史があるとは言え、まずは生き残らなくてはなりません。

こういった時だからこそ、トライ&エラーの繰り返しながら、日々変化に対応していけるよう意識しています。


KP:
今後のビジョンを教えてください。


安藤:
「優しさ」というのを、一つのキーワードにしています。

例えば商品で言えば、寝たまま着られるほどの剣道着、着用していることを忘れるくらいに着心地の良い剣道具(防具)等、ユーザーに「優しさ」を感じてもらえるような商品開発を行いたいと考えています。

この考え方は社内でも同様で、職人や従業員の皆さんにも、仕事に対して楽しさや優しさを持ってもらえるよう、社内の雰囲気作りにも注力しています。
そういったことが、お客様へのサービスにもつながると考えているからです。

「良いサービス」と「良い商品」があれば、必ず必要とされ、生き残ることができると思っています。
ひいては、それが「会社の存在意義」となるのではないでしょうか。

安信商会の商品を通して、ユーザーの皆様には、受け継いだ伝統と「優しさ」を感じていただけると幸いです。

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名古屋本社外観
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自社工房で日々商品開発を行う。
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