▼武道具店インタビュー▼
「三河木綿と刺子技術を世界へ」
〜タネイ 種井美文〜
(以下 KENDO PARK=KP 種井美文=種井)
株式会社タネイ
大正10年 自営業者として消防刺子生地、柔道生地の機械生産事業にて創業。
昭和43年 株式会社タネイ設立。
平成6年 「バイオ加工」技術を開発し、「バイオ加工剣道衣」を発表。
平成20年 刺し子織りの三河木綿で地域産業資源活用認定事業所の指定を受ける。
|商品開発こそメーカーの務め
KP:
長年にわたって、伝統の三河木綿素材の剣道着を生産なさっていらしゃいます。
種井:
タネイのルーツとしては、大正10年に消防や柔道衣向けの刺し子生地生産業として創業したところから始まりました。
平成元年に私が代表に就任し、そこからは刺し子生地を使った様々な商品を開発致しました。
KP:
開発商品について教えてください。
種井:
平成6年に、バイオ加工の剣道衣を開発致しました。現在で言う所の”ウォッシュ加工”というものです。
当時出始めていたソフトジーンズをヒントに、より着心地の良い道衣を求めて開発に着手いたしました。
とはいえ周囲にそういった加工をしている業者もなかったので、岡山のジーンズ業者を回ってなんとか開発にこぎつけました。
その後特許申請をして、「バイオ加工剣道衣」として売り出しました。
初めはなかなか売れなかったのですが、その着心地の良さが少しずつ広まり、ヒット商品となりました。
|時代に合わせた商品展開が必要
KP:
タネイといえば、独自の「刺子織」も特徴的です。
種井:
とにかく新しいものを作っていかなければと考えていたので、オリジナルの「刺し子織生地」も開発致しました。
意匠登録も行い、今では武道着以外の商品にも幅広く活用しています。
KP:
剣道着でいうと、海外製のものやメッシュ、ジャージ道衣などが登場しました。
種井:
バイオ道衣や特殊刺子道衣などを開発した後すぐに、化学繊維を使用したものが日本に入ってきたので、なかなか大変でした。
洗いやすさや安い値段にお客様が慣れていってしまったので、単純な品質だけでは選ばれない時代になったと思います。
KP:
それに対しては、どのように対応なさったのですか?
種井:
今一度、自分たちの技術の価値を見直しました。
一歩外に目を向けると、アパレルなどでは我々の製作する刺子織の生地は非常に価値が高いことがわかりました。
そこで武道着以外の商品製作に着手いたしました。
KP:
それがアパレルブランド「sasicco」ですね。
種井:
もともとは、刺し子生地で作業着「和楽」というブランドを展開したところ、思ったよりも大きい反響をいただきました。
その後平成20年に、刺し子織りの三河木綿で地域産業資源活用認定事業所の認定を受けました。
これらの実績を踏まえて、同年に刺し子生地のバッグ等を作り始め、平成22年には「sasicco」のブランド名で商標登録をいたしました。
現在では東京の伊勢丹ほか、各百貨店に出店したり海外でも展示の機会をいただくなど、新たな展開が生まれています。
最近では色々なメディアにも取り上げていただき、伊勢志摩サミットのプレスバッグにも採用いただきました。
KP:
今後の展開を教えてください。
種井:
三河木綿の刺し子織を、色々な商品を通して広めていきたいです。
それはアパレル分野のみならず、引き続き剣道着、及びその他の武道着を通して、皆さんに手にとっていただければ幸いです。
運営から:
変化する時代の中で、脈々と受け継がれてきた伝統の三河木綿。
その伝統を守りつつ、現代に合わせた商品を生み出すスタイルは、まさに伝統工芸のあるべき姿だと感じました。
KENDO PARKでは、三河木綿を使用したタネイの商品を取り扱いしております。
是非ともご覧ください。
※伊勢守×タネイのコラボ防具袋も、下記よりお買い求めいただけます。