▼武道具店インタビュー▼
「遠州藍染の技術を紡ぐ」
〜高柳喜一商店 高柳成喜〜
(以下 KENDO PARK=KP 高柳成喜=高柳)
|風土から生まれた藍染技術
KP :
高柳喜一商店のルーツを教えてください。
高柳 :
50年くらい前に、糸の染色業から始まりました。
そこから反物販売を行う個人商店のような形態だったようです。
KP :
どのようなきっかけで、武道着を扱うようになったのでしょうか?
高柳 :
先代社長が柔道家8段だったこともあり、30年ほど前からに剣道衣・柔道衣の取り扱いを開始いたしました。
すでに同業者も少なからず存在していましたが、遠州藍染の技術と縫製技術を活かせる最適な市場だということで、生産を始めました。
KP :
遠州藍染について教えてください。
高柳:
遠州藍染は、現在の浜松市をはじめとする静岡県西部を指す”遠州地方”発祥の藍染技術です。
もともと浜松周辺は、気象条件的にも紡績や染糸業が盛んな地域でした。
付近に天竜川などの河川があり水も豊富だったことから、ジョウロのような道具で染料を注ぎ込む”注染染め”が発達し、染織反物の一大生産地となりました。
その技術が今に受け継がれて”遠州藍染”と言われています。
特徴としては、色の明るさがあると思います。
近年の剣道着では、濃い目の色が好まれるので難しい面はありますが、本来藍染は経年変化を楽しんでいただく物なので、あえて製法は変えずに行っています。
天然素材にこだわっているので、体にも優しい剣道着です。
|染めから縫製まで自社製造
KP :
天然素材を使用した、草木染めなども特徴的ですね。
高柳:
天然素材を使う分、製造での取扱いが通常商品に比べ大変でありますので、受注生産にてお受けしております。
藍染もそうですが、元来の天然素材にこだわればこだわるほど、気象条件等に素材の特性が左右されるので、均一な商品を生産するのが難しくなります。
お客様には、そういった天然素材特有の特徴も感じていただけると幸いです。
KP:
遠州藍染工場は、御社を含めかなり少なくなったとお聞きしました。
高柳:
20年前くらいから海外製商品が登場してから、地域にあった染色業者や反物屋さんもかなり減りました。
自社に藍染工場を持ち、かつ縫製まで行う業者となると、弊社の他にはほとんどないと思います。
KP:
それが社内にある自社縫製工場ですね。
高柳:
自社縫製工場があることで、業者減少によるサプライチェーンの断絶が起きても、弊社では製品を作り続けられる体制となっています。
ものづくりに真正面から取り組む社風が、この工場には詰まっています。
KP:
今後の展望を教えてください。
高柳:
遠州藍染の技術を継承していくのはもちろんですが、武道着以外の業界の方からも色々なお話をいただいているので、もっと幅広い方々に遠州藍染を知っていただきたいです。
運営から:
ひとえに藍染といっても、なかなかユーザーには伝わりにくいところではありますが、伝統を残すためにも情報発信の重要製を改めて感じました。
KENDO PARKでは、高柳喜一商店の商品を取り扱いしております。
是非ともご覧ください。