【剣道具の未来を作る / SSPについて】松興堂 松本孝仁(2)

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松本孝仁

▼スペシャルインタビュー▼

 

第二部「剣道具の未来を作る

(以下 KENO PARK=KP   松本孝仁=松本)

 


松本孝仁-

東京都出身

桐蔭学園高校剣道部、法政大学剣道部に所属。

2005年に株式会社松興堂代表取締役に就任し、以来現職。

2015年より全日本武道具協同組合理事長も務める。


 

|課題に正面から向き合う

KP:

近年での業界の変化を教えてください。

 

 

松本:

7~8年前からインターネットでの販売が登場し、材料流通が変化したと感じています。

海外生産の材料がそのまま海外で消費されるので、良い材料がなかなか手に入りにくくなりました。

 

 

KP:

お客様の変化はありますか。

 

 

松本:

サイズや仕様に関して、要望が細くなったと感じます。

それ自体は良いことなのですが、「とにかく面布団を薄く短くしてください」

というような要望が、学校の剣道部顧問からも来るようになりました。

 

子供の安全を考えればあり得ないリクエストでしたので、その際はお断りいたしました。

 

このように情報が取得しやすくなった一方、

“剣道具(防具)の良し悪し”を判断する正しい知識が広まっていないのは少し残念に思います。

 

 

KP:

現在の悩みや課題を教えてください。

 

 

松本:

ビジネスとしては、先述の通り材料調達が課題となっています。

当然ですが、“古き良き”形にこだわればこだわるほどコストも増大しますので、

そのバランスが難しいです。

 

業界としては、定義の問題と後継者の問題でしょうか。

機械の発達によって、ミシン刺と手刺の定義も曖昧になりました。

 

また「日本製」の定義も、他業界を含めて“日本で組み立てていればOK”となっています。

このようにお客様に品質をどう正しく伝えるかが、業界全体としても課題になっています。

 

後継者問題については、特に材料業者において顕著だと感じます。

流通においては、一つの材料が調達できなくなるだけでも影響は大きいので、

ここは大変心配しています。

 

松本孝仁

一業者としてのみならず、業界についても語っていただきました。

 

KP:

剣道具業界での後継者問題についてお聞かせください。

 

 

松本:

もちろん後継者がいない所も多数ありますが、

業者によっては若い職人が登場しているところもあります。

 

おそらく不景気によって、「手に職を付ける」必要性が出てきたこともあるのではないでしょうか。

剣道具業界としては、彼らを大切にしていかなければなりません。

 

|SSPについて

KP:

全国道場少年剣道大会で使用義務化された、竹刀規格SSPについて教えていただけますでしょうか。

 

 

※SSP規格竹刀全国道場少年剣道大会使用義務化について

“全日本剣道道場連盟が主催する全国道場少年剣道大会は、2017年の「第52回大会」から、SSPシールを貼付している竹刀の使用が大会で義務化されます。全国の優良専門店で購人することができる上、全日本剣道連盟の試合規格基準を完全に満たしていることが一目瞭然。安全を第ーに、さらに万ーの場合はPL保険が適用される竹刀の証であることが採用の理由となっています。
剣士たちの健全な精進を支えるために、日々、剣士育成に邁進される指導者の方々と共に歩みを進め、10年以上かけて培われてきたSSPシール竹刀の普及のひとつの証としてぜひご理解いただきたくお願い申し上げます。”

(出典:全日本武道具協同組合公式HP http://zenbukyo.jp/ssp.html)

 

松本:

今回の規格採用によって、全日本剣道連盟の竹刀規格

適合した竹刀を子供全員が使用するようになったことと、

竹刀破損時に保険適用ができるようになったことが大きいと思います。

 

SSP規格はあくまで全日本剣道連盟の規格に沿って、日本国内で検査しております。

もちろんまだまだ課題はありますが、少なくとも“どんな竹刀でも出場できる”

という異常な状況は解消できたと思います。

 

また副次的な効果として、全日本武道具協同組合の中でも

全業者が一体となって議論することができたことも良かったと思います。

 

全日本武道具協同組合といっても、やはり競合他社同士ではありますので、

なかなか一体となって施策を打っていくことは今まで難しかったのですが、

今回のSSPによってそういった機会が生まれたことは我々にとっても良いことだと思います。

 

 

KP:

私も、学生時代は各大会に出るたびに色々な竹刀規格があって、本当に混乱しました。

今後SSPが統一規格としてスタンダードになる可能性はありますでしょうか。

 

 

松本:

そうなれば嬉しいですが、SSP自体はスタートしたばかりなので、まだまだこれからだと思います。

 

高校剣道連盟や学生剣道連盟のように、独自により厳しい竹刀規格を設けている所もありますし、

保険適用においても今後様々なパターンが出てくると思いますので、

ひとつずつ課題をクリアしていきたいと考えています。

 

いずれにしても安全な用具を提供したい」という想いは同じです。

 

 

KP:

業界として今後目指していくべきことを教えてください。

 

 

松本:

用具を提供する側としては、やはり「安全面第一」ですね。

 

剣道具においては、医学的に解明されていない部分も数多くありますので、

ここは各連盟も含めて一体となって研究していく必要があると思います。

 

いくら伝統的だと言っても、安全性上誤っているものはしっかりと改善していくべきだと思います。

 

松本孝仁

 

運営から:

利用者の安全性確保という点を、本当に徹底なさっていらっしゃいました。

それは商品開発から竹刀規格まで、「一業者」としてではなく、

「業界」として捉えていらっしゃるのが印象的でした。

 

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