
▼スペシャルインタビュー▼
「勝利へのプロセス」
〜九州学院・明治大学 梶谷彪雅〜
常勝軍団九州学院の主将を務め、明治大学でも活躍中の梶谷氏。
結果以上にプロセスにこだわる思考と、新世代から見た将来像をお伺い致しました。
(以下 KENDO PARK=KP 梶谷彪雅氏=梶谷)
※記事最下部に、梶谷氏オリジナル竹刀のご案内がございます。

-梶谷 彪雅(かじたに ひょうが)-
1998年生 大分県出身
高森中学校(@熊本県)時代に、全国中学校大会団体優勝(大将)。
九州学院高校(@熊本県)へ進学し、選抜・魁星旗・玉竜旗・インターハイ・九州選抜・全九州の高校6冠をはじめ、数々のタイトルを獲得。
高校卒業後は明治大学へ進学し、全日本学生優勝大会第3位、関東学生優勝大会第3位、関東学生新人戦大会準優勝等、入賞多数。
|成長できる環境に飛び込む
KP:
梶谷さんは、大分県出身だそうですね。
そこから高森中、九州学院高と進学なさいました。
梶谷:
大分県出身ですが、中学生の時から熊本県で下宿生活を送っていました。
道場の先輩が通っていた縁もあり、熊本県の高森中学校に通っていました。
実は中学校を卒業する際に、チームメイトと県外の高校へ一緒に行こうと話していました。
しかし、その高校が思ったより選手が集まらなかったこともあり、別の高校を探すため、いくつかの高校の稽古へ参加いたしました。
その中の一つが、後に進学した九州学院高校でした。
KP:
進学にあたり、何が決め手となったのですか?
梶谷:
とにかく、稽古環境ですね。
全中での優勝経験もあったので、当時自分では「それなりにやれるのでは?」と思っていました。
実際、九州学院高校以外の高校は、「何とかやって行けそうだな」と感じていました。
しかし、九州学院の稽古に参加したところ、先輩方の激しい稽古に驚き、実際に手合わせしてみても「これはとても敵わないな」と強く感じました。
逆に言うと、自分が成長できる環境だと思い、最終的には九州学院高校へ進学いたしました。


|意思統一がされた集団
KP:
九州学院といえば「常勝軍団」のイメージが強いですが、実際のチームの特徴を教えてください。
梶谷:
いくつかありますが、列挙してみると、
・一人一人が自分の考え、自分のスタイルを持っている。
・自己中心的な剣道はせず、相手ありきの剣道をする。
・日常生活にとても厳しい。
・結果よりも内容を重視する。
というところでしょうか。
これらは全て、米田監督の指導方針が元となっています。
例えば、稽古では「どういうシチュエーションを想定しているか?相手は誰を想定しているか?」を各自が必ず考えています。
監督から具体的な指示を受けるわけではないですが、米田監督曰く「稽古を見れば、何を想定しているかわかる」そうです。
結果として、常に相手を意識した稽古になっていると思います。
また、日常生活を律しられていない選手は、試合でも起用されません。
試合中の苦しい局面で、そういった日頃の生活態度や意識の差が出ると考えているからです。
このように稽古内外でも、意識の高さがチーム内に浸透していると思います。
KP:
とはいえ「連覇」を続けることは、容易ではありません。
梶谷:
自分たちの中では、「連覇」という意識は一切なかったですね。
常に「自分たちの学年で、いかに勝つか」を考えていたので、毎年勝ち取りに行くようなイメージです。
これは米田監督からも、ずっと言われていたことです。

画像出典:Let’s Kendo

|内容にこだわる
KP:
米田監督(九州学院)の指導について、もう少し教えてください。
梶谷:
米田監督には、「内容にこだわる」ことを学びました。
試合でも、単に勝っただけでは褒めていただくことはないです。
その一方で、「何故それを打ったの?」と問われることが多かったように思います。
端から見ると、九州学院は各大会で連勝を重ねているように見えるかもしれませんが、実際は練習試合などでも競ったり、負けたりすることも多数あります。
しかし、それら全てにおいて「内容はどうだったか?何を課題として試合をしたか?」にフォーカスしているので、その積み重ねが公式戦の場面での勝利に繋がっているのだと思います。
また稽古内外での「メリハリ」も、学んだことの一つです。
米田監督は稽古中は大変厳しいですが、稽古以外の部分では悩みや相談事を話せるような関係性を作っていただきました。
実際私も何度も相談に行き、その度に丁寧かつ的確に答えていただきました。
米田監督は常日頃から、「俺から離れて勝てなくなったら、意味がない」とおっしゃっています。
その観点で言うと、剣道を志す者として根本的な部分を教えていただいたと感じています。

画像出典:Let’s Kendo

|課題解決の積み重ね
KP:
ご自身の剣道のスタイルについて教えてください。
梶谷:
私は比較的小柄な体格なので、小さい頃から「体の大きな相手にいかに勝つか」を考えてきました。
「他の人が真似できない技が多い」と言われることもありますが、それらも全て小さい頃からの試行錯誤から生まれたものです。
例えば私がよく使う技として、「右に担いでからの面」という技がありますが、これも当時「三所隠し」が流行したことから生み出されたものです。
相手の三所隠し
→逆胴を狙う
→相手が逆胴に対応してくる
→逆胴をフェイントとして、面に変化する
このように、相手の動きに対してソリューションを考えていった結果、最終的に現在の担ぎ技につながりました。
これらも全て、「自分中心ではなく、相手ありきの剣道」「勝ちたいではなく、勝つためにどうするか?」を追求してきた積み重ねだと思います。
KP:
大学剣道では、今までと変化は感じますか?
梶谷:
「引き技が当たりにくくなった」「間合いが遠くなって、理合いが重要になった」等、もちろん技術的な変化はあります。
しかし、これらも順に対応していけば良いと考えているので、根本的なところは、特に変わりません。
それ以上に、共通意識を作ることの難しさを感じています。
大学では、色々な地域から色々な考えを持った選手が集まってきます。
それらが集まった時に、意識や感覚、チームとしてのカルチャーなど、共通のものを浸透させることは、どのチームでも大きな課題なのではないでしょうか。


|東京に来てからの変化
KP:
現在梶谷さんは、ツイッター上で質問箱を設けたり、オリジナル竹刀を開発したりと、部活動以外のところでも色々と手がけられていらっしゃいます。
梶谷:
友人の一言がきっかけで、今は色々なことに挑戦しています。
というのも、高校までは「剣道だけしていれば良い」と考えていたのですが、大学の友人に「いくら剣道が強くても、人と話せなければ意味ない」と言われ、コミュニケーションの大切さに気づきました。
もともと人見知りな性格で、高校時代も主将でありながら、あまり周囲に声をかけるタイプではありませんでした。
しかし、友人に連れられて色々な人と会ううちに、「世界には本当に色々な人がいる」ということを学んだとともに、「コミュニケーションを取れないと、何も意味がない」ということを強く感じました。
それから、自分がやってきたことを伝えたいと考えるようになり、ブログやツイッターでの質問箱を開設いたしました。
今では、質問箱に数百件もの質問が寄せられることもあり、反響の大きさに驚いています。
KP:
チーム内での、ご自身の意識も変わってきましたか?
梶谷:
そうですね。
私はもともとチームリーダー的タイプではないので、高校では星子(九州学院高→筑波大)がチームのまとめ役のような存在でした。
しかし大学でコミュニケーションの重要性を学んでからは、「自分が、いかにチームの力を引き出せるか」を考えるようになりました。
例えば、2018年の関東学生新人戦では、チームメイトに対し「試合を楽しむこと」と「局面での闘争心を忘れない」ことを伝えました。
結果として、チームは決勝まで進出いたしました。
これらは、今まででは考えられなかったことですが、大学生になって自分のやってきたことが少しずつ言語化できてきたと感じています。
KP:
将来のビジョンを教えてください。
梶谷:
まずは、自分のやってきたことを国内外に発信していきたいと考えています。
そのために、先述の質問箱とあわせてブログも開設しています。
また、「剣道家として生活ができるモデル」を作りたいと考えています。
剣道にはプロやスポンサーシップもないので、将来の選択肢が少ないと感じています。
一方で、昨今アマチュアスポーツ業界では、どの競技でも変革が求められています。
その中で、「マネタイズしながら、剣道を磨いていく」ような仕組みを作り、若者世代として将来数十年単位で剣道が永続していくような形を見いだせればと考えています。


|オリジナル竹刀「彪雅-Hyouga-」
KP:
オリジナル竹刀「彪雅-Hyouga-」「彪雅-Hyouga-2」について、教えてください。
梶谷:
もともと私はかなり攻撃的なスタイルなのですが、試合の後半になると疲れて打突力が落ちるのが悩みでした。
そんな折に、自分オリジナルの竹刀開発のお話をいただき、開発したのが「彪雅-Hyouga-」シリーズです。
最大の特徴としては、「右手小判」であることです。
右手を小判形にすることで、試合の後半に握力が無くなって来た局面でも、「上から正しく握る」ことができるようになります。
これにより、無理な力を加えずとも、自然と刃筋を立てた打突ができるようになります。
私のように、攻撃的で様々な体勢から技を繰り出す選手には、最適だと思います。
一方左手は、竹刀を支える手になりますので、常にある程度しっかり握っている必要があります。
確かに、右手は打つ瞬間だけ力を入れたほうが、強い打ちができると思いますが、左手まで力を抜いてしまうと振り遅れたり、相面や出鼻小手などで出遅れます。
そのため、「彪雅-Hyouga-」シリーズはいずれも右手のみ小判形となっています。
好みにあわせて、直刀(古刀)型、胴張型、柄太型の3タイプを取り揃えております。
彪雅-Hyouga- :右手小判・直刀(古刀)型
彪雅-Hyouga-2 :右手小判・胴張型
彪雅-Hyouga-0式:右手小判・柄太型
皆様のパフォーマンスを、必ずや高めてくれる仕様になっていますので、是非一度お試しください。



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